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漫画っぽい画面をつくるには

※あくまで桃缶個人の意見に基づいて書いていますのでご了承ください。

漫画描いたはいいけど「なんか漫画っぽくないんだよな~」と感じるとき、ありませんか???
わたしもそうだったのですが、「絵が下手だから漫画っぽくないのかな?」と人物の練習をしがちなんですよね。
でも、人物のデッサンの問題ではないケースが多いと思います。

たとえば

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だめじゃないんです。
だめじゃないけど、なんとなく平坦なかんじ。
けっこうショックを受ける場面のはずなのに、あまりショックが伝わらない。

見せ方を少し工夫します。

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何を工夫したのかというと、見開きの魅せゴマを決める、ということです。

わたしが選んだ魅せゴマは好きな相手が「ずっと好きなひとがいる」と打ち明けるコマです。
好きな相手がイケメンかどうかの情報は、それ単体で言う必要がない情報です。(絵でイケメンに描けばいいので。)あえてイケメンであることやイケてる情報を出すなら、それと主人公を対比する(正反対)のに使うとふたりの落差がハッキリします。
且つコマの順番を少し変えました。インパクトのある場面を最初にもってきて、付随する情報(イケメンだとか自分は地味だとか)はあとまわしにしています。コマの流れとしては、インパクトからの主人公の気持ち(聞きたくなかった)、それはなぜなのか(主人公が相手に想いを寄せていたから)、なんて返事をするのか(次ページへのヒキ)、という順番です。

修正前の漫画の場合は、ものごとが時系列にならんでいるだけです。
主人公が相手のことをイケメンだと思っていることはわかりますが、自分はスクールカースト的にどうなのか、相手のことをどう思っているのかなどはよくわかりません。
漫画の冒頭2ページは読者に伝えなければならな情報がもっとも多いと言われます。どんなひとたちの、どんな物語なのか。この漫画の場合、幼馴染で正反対なふたりの、恋の物語。これを冒頭見開き2ページで伝えるには、時系列だと情報が入りきらないことが多いのです。そのためコマの流れを工夫します。日本語的な文法で「●●さんが□□という理由で△△しました」という説明のしかたではなく、英語的に「●●さんが△△しました。それは□□という理由からです」という、結論先行型のコマ配置にするということです。最もインパクトを持たせたいコマを決定するのは、このためです。

これ、たとえば「へえ…(正直聞きたくなかった)」を魅せゴマに持ってくるのもアリだと思います。


で!

問題はコマの配置のしかたではなく、なぜ修正前のような漫画になってしまうのか?というところです。
あとから指摘されれば「たしかにな」と思うことが多いのに、なぜそれを最初からできないのか、次漫画描くときもたぶん修正前のような漫画になっちゃう…それが一番問題です。
これにも理由があります。それは…

人物の練習ばかりするから!!!です。

漫画って人物が綺麗に描けることがいちばん大事なんじゃないの?と思われがちですが、人物のデッサンなんて正直あとまわしでいいくらいです。
なんで人物の練習ばっかりすると上のような漫画になるのか?
それは、人物の顔を描きたがるクセがつくからです。
漫画描くひとの多くは人物の顔を描くのが好きだと思います。わたしも人物の顔描くのが漫画の作業で一番楽しいです。
でも、「楽しいことばかりやる」と、どのコマも人物に寄った、顔中心のコマになります。(顔マンガと呼ばれるやつ。)

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ルーズのコマ(カメラを引いた視点)、ほぼ無いですよね。
顔描くの好きすぎてどれも顔がハッキリ見えるアップのコマになっています。
制服と2コマ目のチャイムでなんとなく学校だってことはわかりますが、ふたりがどこにいるか、どういう状況なのかなどはわかりません。

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一方、この見開きで顔がハッキリ描かれているコマはたったの3コマです。(1コマ目、3コマ目、5コマ目)
漫画を描く身としては、「人物の顔が描き足りない!!!」というフラストレーションが溜まりますよね…(;'∀')
しかしながら、「なんか漫画っぽくないんだよな~」の原因はコレです。
人物の顔描くの好きすぎる病

自分の生み出したキャラクターが大好きで、見せたい・描きたいのはよくわかります。が、それをぐっと堪えて、読み手の視点で画面を構成すること。そうすると、顔アップのコマが半分くらいに減って状況がよくわかるルーズのコマを活用できるようになります。ルーズのコマが使えるようになると、いざアップのコマが来たとき大いに引き立ちます。ぐっと漫画っぽいかんじになりますよ!


以上、漫画っぽい画面をつくるには、顔描きたいの我慢!というお話でした☆(^o^)/

わたしの好きを詰め込んだマンガですが、届いてくれることを願って。応援いただけると本当に嬉しいです。