【昭和〜令和50年間】サンリオキャラクターのデザインから見る「カワイイ」の変遷
〜はじめに〜
こんにちは!
サンリオが大好きで、YouTuberとしても活動しているももかろりーたと申します。
初めましての方ははじめまして!
私はサンリオキャラクターはもちろんのこと、
サンリオの歴史や、サンリオ周辺のポップカルチャー、ガールズカルチャーなども愛してやまないヲタクです!
サンリオファンである私の、大人の夏休みの自由研究(?)として、
70年代〜2020年代の約50年間に渡るサンリオキャラクターのデザインの変遷について書いていこうと思います。
結構省略して書いたつもりですが、なかなかに長くて読み応えがあると思います。笑
皆様の知的好奇心を刺激できたら幸いです。
さて、noteにまとめるにるために思考ツールとして、サンリオキャラクターを座標軸でまとめてみました。
上方向はファンタジー性、下方向は現実性。
サンリオキャラクターは大前提に全てファンタジーですが、その中でも「妖精」など架空のモチーフにはファンタジー性が強いと判断し、
逆に人や、実際にあるモノなどをモチーフにしたキャラクターは現実性があると判断してます。
左方向は海外風デザイン、または海外出身など異文化を感じるかどうかで判断し、
右方向は日本文化をモチーフにしてるデザインや、日本のアニメを感じさせるかどうかです。
そして黄色は70年代誕生キャラクター、
ピンクは80年代、オレンジは90年代、水色は2000年代、赤は2010年代、黄緑は2020年代という感じに色分けしてます。
(サンリオキャラのイラストが絶妙なクオリティですみません笑)
以下こちらの座標軸を使って、サンリオのデザインの変遷を見ていきます!
ぜひぜひお付き合いください。
【70年代】海外への憧れを体現するキャラクター
戦後経済が回復し、モノが売れるようになった日本。そこに新しい価値観である「かわいい」が社会へ消費者へ、徐々に認識され始める。
サンリオは、オリジナルキャラクター開発前は、水森亜土さんや田村セツコさんなど人気イラストレーターのイラストを起用した商品を販売していた。
その後1973年、ついにサンリオで初めてのオリジナルキャラクターがデビューする。それが「コロちゃん」である。
え?!キティちゃんじゃないの?と驚かれる方も多いと思うが、そうなのです。
キティちゃんは翌年1974年にデビューし、パティ&ジミーや、バニー&マッティなど人気キャラクターと同期であり、
なんと世界のキティちゃんには先輩がいるのです。笑
さて、座標軸を見てみよう。
70年代に誕生したキャラクターの分布は主に左上である。そしてサンリオHPに記載されてる70年代生まれのキャラクターは34キャラクターである。(実際もっといます)
ロンドン出身のキティちゃん、コロちゃん。
いかにもアメコミ風なデザインのパティ&ジミー、バニー&マッティ。
南極のタキシードアイランド出身、英語がペラペラなタキシードサム。
外国人風のカタカナの名前が付けられたキャラクターも多数。
また、水彩画タッチで描かれた優しいパステルカラーの色合いのキキララちゃんやマイメロディ。
(この2キャラの初期のデザイナーは同一で松本庸子さんである)
70年代に誕生したキャラクターは、どれもデフォルメされた日本らしいキャラクターデザインではあるが、どこか海外エッセンスを感じる設定と色合いだ。
当時の少女たちの「海外への憧れ」を強く意識したデザインである。
これは最近気付いたことなのだが、キティちゃんはロンドン生まれという設定で、お母さんとお父さんの名前はメアリーとジョージ。
おそらく英国王室のプリンセス&プリンス、メアリーオブテックとジョージ5世を意識したネーミングだろう。
なので、70年代のサンリオキャラたちは、アメリカやヨーロッパの豊かな暮らしに憧れる、
当時の少女たちの乙女心が投影されているデザインが多い。
また、サンリオの創設者、辻慎太郎元名誉会長(いちごの王さま)の書籍によると、どうやらディズニーへのリスペクトも持っているそうで、
ディズニーキャラクターのデザインにインスパイアされたキャラクターもいるのではないだろうか。
まだまだ日本独自の「カワイイ」は発展途上であり、海外の輸入品のおもちゃやディズニーキャラクターなどからインスピレーションを受けて、デザインされたキャラクターが多かったのではないかと考えられる。
【80年代】海外風&和製ファンシーキャラクター大渋滞のカオス期
次に80年代のサンリオキャラクターを見ていこう。
80年代はなんと言ってもバブル期。
好景気のため消費の需要も多く、日本が一番明るかった時代なのではないかと思う。
そんな中、80年代の少女たちを取り巻くのはファンシーキャラクターブームである。
80年代のファンシーキャラクターブームはサンリオを見るだけでは語れない。
コクヨ、サンエックスなどサンリオ以外の他社からも人気キャラクターが多数誕生している。
サンリオ公式HPに記載されたサンリオキャラクターも80年代が一番多く、89ものキャラクターのプロフィールが記載されている。(実際はもっといます)
この頃のサンリオキャラクターはとてもカオスである。
80年代前半は、70年代のような海外意識なデザインのキャラクターが多数いる一方で、
後半には「ぽこぽん日記」「梅屋雑貨店」「るるる学園」などの和製ファンシーキャラクターが台頭する。
なので、海外キャラクターを見習いながらキャラクター開発をしていた70年代よりも、
デザインが多様化し日本独自の「カワイイ」が確立した時期なのではないのだろうか。
もちろん、80年代に誕生したキャラクターと同じく70年代に誕生キャラクターたちも人気を博している状況だ。非常にカオス。笑
私の推しはペンギンのキャラクター「タキシードサム」だが、1979年に平面的なデザインとして誕生し、その後84年に現在馴染みの深いアニメタッチのデザインに再デビュー(リデザイン)される。
これが反響を呼び、また当時のペンギンキャラクターブームの波に乗り、より人気キャラクターとなったそうだ。
そして、海外文化へ憧れる乙女心に刺さるキャラクターが「マロンクリーム」、「ザボードビルデュオ」なのではないだろうか。
マロンクリームは、パリの女学生のうさぎという設定で、80年代ティーン向け雑誌「Olive」が提唱したリセエンヌを意識させるデザインだ。
「ザボードビルデュオ」はニューヨークに住む学生の幼なじみ、というキャラクターで、
74年誕生のパティ&ジミーと一見似ているが、10代後半のティーンエイジャー風デザインでよりファッショナブルで洗練された印象だ。
なので、「海外風デザイン意識×日本的カワイイ」のいいとこどりな点が、80年代サンリオキャラクターの特徴ではないだろうか。
さらに、「ハンギョドン」や「みんなのたあ坊」など、前時代のキャラクターとは一癖違う、和製のファニー(じわじわ面白い)キャラクターというような、新ジャンルのキャラクターも誕生した。
よって非常にカオスで多種多様、供給過多。
しいて一言で現すのであれば、どのキャラも「ファンシー」という語彙であればしっくりとくる。
そんなファンシーなデザインが、80代サンリオキャラクターの特徴である。
【90年代】ペットとしてのキャラクターが誕生
バブルの名残がある90年代前半、そしてその後の景気低迷。元号が「平成」に変わり、また新たなサンリオキャラクターが誕生する。
90年代誕生のサンリオキャラクターは、公式HP記載数全49キャラクターだ。
90年代を代表するキャラクターと言えば、やはり「ポムポムプリン」ではないだろうか。
ポムポムプリンは96年誕生の、ゴールデンレトリバーのこいぬの男のこ、というキャラクターだ。
この頃の海外及び日本のポップカルチャーの影響で「大型犬を飼うこと」が、豊かさの象徴(ステイタスシンボル)とされていて、そんな時代の風潮によりポムポムプリンは誕生した。
前時代のキャラクターでも動物モチーフのキャラクターは多数存在するが、
ポムポムプリンは「人間に飼われている」という設定である。そこがこの時代特有のものだと思う。
また、「黄色は売れない」という固定概念を覆したのがポムポムプリンである。
他にもハムスターのキャラクター「コロコロクリリン」も90年代に誕生し、ペットブームがサンリオのデザインに大きな影響を与えている。
また、「バッドばつ丸」や「シンカンセン」などの男の子向けキャラクターの誕生も大きな変化だと思う。(厳密に言えば80年代後半デビューのけろけろけろっぴやあひるのペックルもこの類だと思う)
サンリオは新たに男児向けキャラクターを開発し、「カワイイ」のターゲットを拡大させた。
景気低迷の影響で、バブル期の80年代と比べれば消費は落ち込んでしまったと思うが、
1990年12月には東京都多摩市にサンリオピューロランドが開園した。
昭和から平成へ元号が変わるのを皮切りに、サンリオは新たな価値観を反映させ、多様化した「カワイイ」を提案した。
前のめりでチャレンジングなデザインである、というのが90年代サンリオキャラクターの特徴ではないだろうか。
【2000年代】女の子=ピンクを覆す人気キャラクターの誕生
現在のトレンド、平成レトロやY2K(year2000)はこの時代からのリバイバルである。(厳密に言えば90年代後半も)
そんな00年代のサンリオキャラクターは公式HP記載数36キャラクター。
00年代キャラクターの分布は中央〜やや左側である。
その中でも一際人気を獲得したキャラクターが、2002年デビューの「シナモロール」だ。
シナモロールは愛称として「シナモン」とも呼ばれる。以下シナモンと呼びます。
シナモンは、96年デビューのポムポムプリンと同じく犬がモチーフのキャラクターではあるが、
特定の犬種という設定ではなく「白いこいぬ」の男のコである。
そして、シナモンは厳密に言えばペットという解釈ではなく、「ある日お姉さんに見つけられカフェシナモンの看板犬になった」という点や、
犬のキャラクターにも関わらず空が飛べるなど、ポムポムプリンよりもファンタジックなキャラクターである。
そして、女の子向けキャラクターでは珍しい水色が基調のキャラクターである。
そしてもう1人、人気キャラクターが誕生した。
それは2005年デビューの「クロミ」である。
クロミちゃんは、マイメロディやマイスウィートピアノのお友達キャラであり、
黒や紫を基調にしたデザインと、ずきんのおでこ部分にはドクロのマークもあるのが特徴だ。
シナモンもクロミちゃんも、いわゆる女の子向けの定番色「ピンク色」のデザインではない。
なのだがどちらも人気キャラクターとなった。
それは、90年代に黄色を貴重とした女の子向けキャラクター「ポムポムプリン」のヒットにより、サンリオが新たに発見したデザインの法則なのではないだろうか。
また、2005年放送のフジテレビ系ドラマ「電車男」のヒットを皮切りに、日本のサブカルチャーが注目されるようになり、アニメブーム、秋葉原オタクブーム、「萌え」ブームが到来する。
その影響は日本の女児向けアニメにも反映され、
2008年デビューの「ジュエルペット」は、女児向けアニメとしても放送される。
ジュエルペットのデザインは、これまでのサンリオキャラクターとは違って、目が特徴的だ。目がキラキラしていて大きい。
前時代の「セーラームーン」などの女児向けアニメとは少し作画が違い、より現代風な日本のアニメ(サブカルチャー)の「萌え」要素の「カワイイ」を感じるデザインだ。
なので、ジュエルペットの大きなキラキラした目は、日本のアニメ文化からのルーツだと思う。
よって2000年代は、女の子向けカラーの一新と、「電車男」以降のサブカルチャーブームがデザインに大きく影響している。
また新たにサンリオの「カワイイ」がアップデートされた時代である。
【2010年代】クールジャパン、カワイイ文化を海外へ
「電車男」以降の日本のアニメブームはまだまだ続く。
その盛り上がりを象徴するのが、2013年のクールジャパン機構の設立だ。
「クールジャパン」とは、2020年東京五輪に向けて、日本のアニメやポップカルチャー、食文化を海外に広め、インバウンド需要を増やすというものだ。
そんなクールジャパンを意識したサンリオキャラクターが、2013年デビューの「ぐでたま」、「KIRIMI.ちゃん」
そして人気女性声優を起用した2012年デビューのアニメキャラクター「SHOW BY ROCK!!」ではないだろうか。
そしてこの頃の日本は、秋葉原ブームというよりも、アニメはもう誰もが観るものとして定番化し、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅを筆頭に原宿ブームであった時期だと思う。
徐々に外国人観光客で溢れる日本となり、日本らしい食べ物をキャラクターにし、
日本独自のシュールでカワイイデザインは、お土産需要としても非常に人気が高い。
また、00年代のジュエルペット的ポジションの女児向けキャラクターは、
2012年デビューの「ぼんぼんりぼん」、2015年「リルリルフェアリル」、2017年「ミュークルドリーミー」である。
どちらも電車男以降の「萌え」的カワイイを感じるアニメ風の作画で、大きめでうるうるキラキラした目が特徴のキャラクターである。
また、2015年デビューの「こぎみゅん」も人気キャラクターである。
こぎみゅんは、小麦の妖精というファンタジックなキャラクターで、名前も全てひらがなというのが新しい点だと思う。
性格は少し自信がない、いわゆる自己肯定感が低めの控えめなキャラクターで、現代の若者を投影するキャラクターであると思う。
YouTubeでの歌ってみた動画も積極的にアップしていて、儚くカワイイ声も魅力であり、「萌え」要素も少なからず感じるキャラクターだ。
そして、2010年デビューの「ウィッシュミーメル」もまた新たなアイコンとして存在感を放つキャラクターである。
担当デザイナーは「シナモロール」と同じく奥村 心雪さんである。
虹色の尻尾が特徴の、フランス生まれのウサギの女のコというキャラクターで、子供人気のみならず、大人人気も高いキャラクターだ。
その理由として、人気ロリィタファッションブランド「Angelic Pretty」とのコラボレーションや、リボンやフリルをあしらったガーリーなデザイン。
個人的に、フランス生まれという共通点もあり、昭和のマロンクリームちゃんの、平成版がウィッシュミーメル、と考えてもいいのではないかと思う。
このように、2010年代は日本のアニメブームやインバウンド需要、「カワイイ文化」の海外輸出を意識したデザインのキャラクターが多く誕生した時代である。
【2020年代】新しいデビューの形、多様化するキャラクター
最後に、私たちが生きる2020年代も見ていこう。
2020年デビューの「ビートキャッツ」は、バンド活動をするネコたち、というアニメキャラクターである。
なんだがけいおん!みを感じるのは私だけだろうか。笑
一方で、2021年デビューの「ぼさにまる」は、ぼさぼさで癖っ毛なデザインの、ウサギやネコなどの動物モチーフのキャラクターである。
ぼさぼさなデザインの理由は、「ありのままの自分で生きる」という、自己肯定を謳う「セルフラブ」な価値観を体現しているキャラクターなのだと思う。
一方で15年デビューの「こぎみゅん」は、可愛らしいビジュアルに反して自信がなく控えめなキャラクターなので、
ありのままを肯定する「ぼさにまる」はその対局にいるキャラクターだと思う。
デビュー時期は、たった6年の差なのだが、目まぐるしく新しい価値観が生まれる現代に合わせて、スピーディーにキャラクター開発をするサンリオはすごいなと思う。
現在TBS系「ノンストップ!」でアニメを放送中である。
そして、2020年代のサンリオにとって、何より大きなムーブメントが2022年の「ネクストカワイイプロジェクト」である。
ネクストカワイイプロジェクトは、ネット投票や商品購入数などの人気投票によってデビューするキャラクターを決める、という企画であり、
その形式は全く新しい試みであった。
見事1位になったのは「はなまるおばけ」のまるまるで、
頑張ったあなたに「はなまる」をあげるという、白いお化けのキャラクターだ。
2023年サンリオキャラクター大賞結果発表の際、ライブキャラクターデビューも果たした。
人気キャラクターのシナモンやキティちゃんのように真っ白で、ポムポムプリンのようなもっちりまんまるなフォルムは、サンリオが今まで培ってきた「カワイイ」が凝縮されたデザインだ。
ネクストカワイイプロジェクトには、その他にも個性豊かでかわいいキャラクターがいるで、ぜひチェックしてみてほしい。
ちなみに私は「クリーミィアフタヌーン」推しでした。
まだ2023年ということもあり、まだまだこれからどうなるかはわからない。
新たにデビューする2020年代のキャラクターは、一体どんな子で、どんなデザインだろうか?
これからが楽しみである。
〜まとめ〜
このように、サンリオキャラクターは時代ごとに変化し、たくさんの人へ「カワイイ」を届け続けている。
「子供のおもちゃを見れば時代がわかる」と言うが、サンリオキャラクターのデザインも、その時代の世相を映し出す鏡なのだと思う。
70年代の海外意識の強いキャラクターから、
80年代のファンシーキャラクターブーム、
そして日本独自の「カワイイ文化」が形成されていった。
その変遷が見えたのではないだろうか。
皆さまはどの時代のサンリオキャラクターのデザインがお好きですか?
私は80年代のデザインが好きです。(でもどの時代もかわいい…!)
来年2024年はキティちゃん50周年イヤーです。
サンリオへの注目はまだまだ衰えることはないと思います。
サンリオファンとして、キティちゃん100周年の時まで生きるっていうのが、個人的な目標です。
その頃私は77歳のおばあちゃん!
今から健康に気をつけようと思います。笑
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
普段YouTubeでは、サンリオ新商品レビューなど、もっとポップな情報発信をしていますので覗いてみてください♪
ではでは!
ももかろりーた🍒🎀
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