「第4回関東甲信越臨床工学会 in TOKYO パネルディスカッション」のおまけの話
明日から開催される関東甲信越臨床工学会が東京で開催されます。
臨床工学技士として医療安全に専従されている松田先生に企画していただいた「病院管理部門に属する働き方改革 ~技士長は中間管理職にすぎない~」パネルディスカッションに演者として登壇しますので、宣伝記事です!
と言っても、パネルディスカッションで話すことを書いてしまってはつまらないので、語りきれない、おまけの部分を書いてみます。
医療専門職が医療マネジメント職になるメリット
臨床工学技士に関わらず、国家資格を保有して病院に勤務している方々が、どんどん医療マネジメント職に進出すべきだろうと私は思っています。
まず、現場とバックオフィスをつなげることができます。
多くの病院でそうだと思いますが、臨床という現場と事務(マネジメント)方には大きな隔たりがあります。
それもそのはず、臨床で働くためには、国家資格を保有している必要があります。
事務方から現場に異動することがないということは、その範囲でしか認知が形成されません。逆もまた然り、臨床側も狭い認知しか形成されません。
そうなってくると必然的に、臨床サイドと事務サイドでの対立が生まれていきます。
とすると、臨床サイドから事務サイドへ異動したどちらの気持ちもわかる人がいることによって、そこに文化の交流が生まれます。
お互いの認知を広げることができるのです。
これまで知られていなかった情報や感情が、その人を通じて行き来することによって、課題解決につながったり、新たなシナジーを生むことができると自分は考えています。
逆にいうと、臨床上がりで事務サイドに異動した人が、そのような役割を果たせていないとすると、わざわざ国家資格の範囲外の業務をしている意味がありません。
また、2つ目のメリットは、臨床の部署についてです。
医療専門職の部署はほとんど異動がありません。臨床工学技士が看護師の部署で働いたり、看護師が放射線技師の部署で働くことはありません。
そうすると、昇進が詰まりやすい傾向にあります。
それぞれの部署の役職者の人数は決まっていますし、タスクシフトシェアで業務の幅が広がるとはいえ、役職者を増やす程度にはまだまだ至っていないはずです。
資格という縛りを外して良いのであれば、異動することによって、組織に上下の流動性を生むことになります。
流れが滞った水や組織は、必ず腐敗していきます。
人の流れを循環させるためにも、自分が重しになっているかどうかを確認してみるのも良いと思っています。
ただ、役職というポストで考えると、事務も一緒です。
臨床から事務サイドに異動することで、事務の方が昇進することができるポストがひとつ少なくなることは念頭におき、より大きな結果責任が求められるということは認識しておくべきだと思います。
管理ではなく支援
今回のパネルディスカッションで、自分は「管理」という言葉ではなく、「支援」という言葉を意図的に使っています。
講演に限らず、普段から私たちの部署では、「管理」という言葉はほとんど使用しません。使用する場面は、こうしなければならないという規程や手順などのルールの中でだけです。
「管理」という行動の主導権は、「管理する側」にあります。
つまり、「管理される側」は受け身です。
「支援」という行動の主導権は、「支援する側」にありません。
あくまで、「支援される側」が能動的となり、決定していきます。
多くのところで語られることではありますが、過去の工場的な考え方は、受け身や受動的で結果が出てきました。
しかし、正解が何かもわからない時代においては、これをやっておけば良い、こうすれば良いと管理されていては結果が出ません。
パネルディスカッションでも触れますが、医療業界においては、医療費の増大による診療報酬の削減、少子高齢化による働き手の減少などにより、資源はどんどん減っていきます。より少ない資源で価値を生み出していかなければなりません。
また、多様な価値観を持つ患者さんを多様な価値観を持つ医療者で対応していかなければなりません。
さらに、生成AIやロボット、移植などによる新たなテクノロジーが今後も出てくることは必然です。
とすると、「管理」では立ち行かなくなります。
あくまで、現場で働いている方々の肌感覚や、患者さんに対する想いというものを具現化する必要があります。
とすると、その想いを対話により引き出し、どうするれば実現できるか一緒に考えて、実現を支援する役割が、医療マネジメント職、事務サイドに求められていくのではないかと思います。
なんて話をしたいと思っていたのですが、10分ではとても収まりきれませんでしたので、noteに宣伝記事として残しておこうと思います。
ぜひ、関東甲信越工学会にご参加される皆様、9月29日(日)に会場でお会いできれば幸いです!
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