パン屋であるべき、を捨てたら楽になった。

20年以上、業界で働いてきました。


1個前に勤務していたブーランジュリーのオーナーに面接時、「え?社員経験ないの?」と言われました。

こっちこそ、「え?」です。社員であることって、そんなに重要?

そうはいっても此方も想定内で、いたって普通の返し。ああ、貴方様もそちら側で、と。

大手チェーンベーカリーではパートやアルバイトのほうが社員より、知識も経験もパンに対する情熱もあったりして。むしろ、あえて社員への道を選ばない人もいます。私もその一人。

とはいえ、「正社員」というポジションに憧れがなかったわけではありません。むしろ、なりたかったし近づきたかったです。ただ、バイトから契約社員→正社員の道を歩んでいる人達をみていて、全く共感することができなかった。立ち位置が変わるにつれ、悪く変わっていく姿を散々見てきましたし。

とはいえ、ベーカリー勤務は人生の半分を超えました。今やパンを作る事は、私の全て。ですが、優秀な野球選手が優秀な監督になれるわけではないのと一緒でパンを作ることができたとして、経営者としてパン屋をうまく育てていけるかというと、それもまた何とも言えず。

私は経営の才が未熟です。シェアキッチンとはいえ、営業許可を所得しパンを販売することに対し家族は心配をしていたみたいです。「ねぇちゃん(私)は作ることにこだわりが強くて、商売っ気がないからな。。」と。


さすが身内。濁りなく真実。おっしゃる通り。ぐうの音も。


現在使用させていただいているシェアキッチンで利用可能時間は夕方以降。パンを焼いたとして販売できる時間なんて、ほぼありません。既存で利用されているメンバーは毎回完売の投稿。(私なんて販売できる時間がないのだが・・・と思いつつ)

当初「完売御礼」の投稿を見るたびに悲しい思いでいっぱいでした。でも、与えられた環境に沿うことも実力のうち。




パン屋での自分と現在の自分と重ねているから苦しくなる、辛くなると。いっそのことパン屋、パン職人、ブーランジェという括りを開放してしまえ!

自由にやったらいいよ。


その為に「今」がある。


私は、パン屋ではありません。小麦の物を作り、扱う小麦の為に存在する小麦の者。コムギノモノです。

パン屋だけがパンを作るわけではありません。小麦の者は小麦の物の為にパンを作りますと。自分が作る「自由自在」のパン作り。こう考えるようになり以前よりも、ずっと楽になりました。


魔法の言葉、「みんな、自由自在」!