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思い出に残っている旅

いろいろあるからひとつを選べないけど、ひとつだけ選ぶなら学生のときにいったケチケチ旅行です。

あのときでないと出来なかった旅。

友人とのふたり旅。卒業旅行だと思ったのは「あとから」で、行こうと決めたときは最後の夏休みだし就職したらできないだろうし、長旅をしたいよね?で意気投合しての旅だった。
海外でなく国内にしたのは金銭的な問題。
なのでふたりして「いかに安く楽しむか!」を追求して、宿はユースホステルで、チケットは九州ワイド周遊券(確かそんな名だった)で、九州まではできるだけ追加料金のかからない方法で移動して、九州内の乗り放題を満喫するために夜行電車に乗りまくろう旅行。でもふたりとも電車そのものには興味なかったので、なにに乗ったのかわかりません。

しかも記録してないから、記憶だけ。

東京から京都、京都の三十三間堂と奈良の鹿のいる公園に行きたいというのが友の要望で(修学旅行が広島だったんだとかで)観光して、奈良のユースホステルで1泊。

九州までの移動は各駅電車とバスの予定だった。

奈良の蝉って東京のと鳴き声が違うねって話をした。ユースホステルのお風呂で外国人女性と一緒になったんだけど、立ったままシャワーを浴びるもんだから隣にいた私まで頭から泡だらけになって、びっくり笑いしたのも楽しかった。

奈良から倉敷、倉敷を観光して少し離れたところにあるユースホステルに泊まってから、宇高連絡船(まだあったんですよ)で四国にわたって、民宿のようなユースホステルに泊まった。
瀬戸内海の海が遠浅で、どこまでいっても泳げなくて、青藻でぬるぬるする岩を踏んでふたりして沖のほうに波を蹴りながら歩いていたら地元のおにいさんが埠頭から「満ち潮になるぞ! いくな! もどれ!」ってすごい大声でとめてくれた。
とめてくれなかったら危なかった。だって振り返ったら岸がすごく遠くになっていて焦ったし。
その夜は生まれてはじめての五右衛門風呂に入って、はしゃいだ。
目的は鳴門海峡の渦潮だったので移動して、観光船でダイナミックな景色を堪能した。

四国から岡山に戻って、備前焼を体験したい!という友の要望で、備前市に行った。そこで焼きものと絵付けを体験したあと、九州に向かったのだけど下田で足止め。下田から博多に向かいたかったのに夜行列車がなくて新幹線になった。博多では屋台に行きたかった気がするんだけど、新幹線代が高かったため、友人がちょと気を損ねていて、長崎に直行したような気がする。

長崎のオランダ坂にあるユースホステルに泊まったんだけど、これがどのタイミングだったのか憶えてません。
九州に入ったら特急電車に乗り放題だったので、とにかく特急電車に乗ってました。車中泊も平気でしたし、熊本の駅舎で寝たりしたし。
熊本は「水がすごく美味しいんだって」という情報を得ていたんだけど、駅の水はふつうだった。
熊本城にも行った。

長崎は精霊流しのまっさなかで(とくに狙ってなかったのに)街中、爆竹の音がけたたましく煙だらけ。精霊流しって静かなイメージだったのに、お祭り騒ぎだった。すごい人混みのなか、友と手をつないで精霊流しを探したんだけど、遺族以外はお断りな感じで(あたりまえだけど)近づけなかった。
神輿だと思ったら遺族の方の大きな写真が掲げられていて、私の知ってる日本と違うという感想をもったの憶えてます。
翌日は路面列車でグラバー邸へ。そのあとだったか九十九島のクルーズ船ツアーに参加した。長崎ではビードロ買いたい!と友がいってて、それに便乗して私も買った。長崎ちゃんぽんも探して食べた。

九州はほとんど電車泊だったんだな。
ユースホステルが長崎しか思いだせない。

鹿児島の桜島に感動して、東シナ海の水色の海に感動して、とにかく電車で移動してたんだけど、行きあたりばったりじゃなかった。ちゃんと下調べはしていってたから電車の時刻表もばっちり。
途中、日帰り温泉にも入った。

こう書くとほんとにすごい移動距離です。
若かったとはいえ、結構ふたりともへろへろで、それを旅のテンションでどうにかしてたもんだから、帰りは疲労してて、なんだかささいなことで機嫌を悪くしたりして。
九州を離れたら特急電車は乗らないことにしていたので、岡山のユースホステルで一泊してから東京をめざすことに。この岡山から東京が本当にものすごく長かった! 遠かった。果てしなかった。

服は洗いながら着回ししていたからアイロンもかけず(当時の服はアイロンかけないとほんとにみっともなかった)髪はボサボサ、化粧もほとんどできない有様の19歳の女の子が大きな荷物をもって各駅電車を乗り継いで帰る。

ほんとにしんどくて無言になった。
険悪になった。
別れぎわの言葉が「おつかれさまでした」

楽しい旅のおしまいにしては残念なことになったけど、これ一生の思い出になってるじゃん。
すごいな。
よく行ったな、私たち。

そのときにしかできない旅をしてよかったなと、いまは心から思える。

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