増えた私がやって来ました。


 ピンポーン。

 日曜日の昼下がり。
 涼しい風が心地よい温度にして、横になればうとうとしてしまうだろう。

「はーい」

 返事はしてみたが反応はない。
 一体誰が来たのだろうか。

「はいはい。今開けますよっと」

 ドアの鍵を外し、ドアを開けた。

「どちら様でーー」

 そこに居たのは、五人の私でした。

 虚な目をした私が無言で部屋に上がっていく。

「えっ? ちょっと……」

 私の言葉を無視して私達が上がって行く。

 そして、部屋の中を掃除したり、洗濯物を畳んでくれたりしている。

「あっ、そっか」

 私は思い出した。
 溜まった家事を消化しようと家事代行を頼んでいた事を。

 それにしても、自分で自分の家事をしている。
 やはり、自分の事は自分でしなければいけないんだなぁ。

 そんな事を考えながら、私はベランダで風を浴びるのだった。

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