【創作小説】クエスチョン・アーク|Ep.5 Smoke
あれからいかがお過ごしでしょうか。少し間があきましたが、私の方はと言いますと、無事に風邪が良くなってきています。
今日の空はうっすらと曇っていて、日差しは遠慮がちに顔を出しては、またゆっくりと雲のカーテンの向こうへ隠れてしまう・・・という遊びをすることに決めたようです。
実を言うと、あれからしばらくの間、私の白昼夢はこの空の雲のように、そこへ潜っていこうとする私の視界をどこまでも遮っていました。まるで雲の中を渡る旅客機のように・・・私の目はどこまでも続く煙幕を見続け、次第にまだ見ぬチェロの幻影を追いかけ始め、ついには自分の中の真実との追いかけっこに疲れ、喘鳴を起こし始めていたのでした。
それで、チェロには会えたのか?
もちろん、私はずっとチェロを探していましたし、こうして白昼夢の続きを書いていることがその答えになります。
ここから先は
2,340字
【創作小説】クエスチョン・アーク
500円
現実と虚構の狭間で見るイメージを紡ぐ、哲学系幻想小説。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?