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42 Can USSS protect Trump? 米シークレット・サービスはトランプを守れるのか

少し前になるが、7/31 Rumbleのボンジーノ・ショーから、上院公聴会でのロー長官代理の応答を紹介し、この前副長官から長官代理への昇進がいかに不当で、かつ米シークレット・サービスの警護体制強化にはなり得ないのかを説明する。

以下をダブルクリックすると、この7/31 Rumbleのボンジーノ・ショーが視聴できます。またPodcastでは音声だけだが、スマホでは、自動文字おこしされたスクリプトが読める。


・ショッシュ・ホーリー上院議員

ジョッシュ・ホーリイ上院議員の質問

ジョッシュ・ローリー上院議員は、誰しもが知りたい、”暗殺未遂現場での米シークレット・サービスの責任者は誰だったのか?”、をロー長官代理に質問した。
この単純な質問に対して、ロー長官代理は、”現在調査中だから”、という理由で回答を拒否した。

ジョッシュ・ホーリー上院議員

現場責任者には次の疑問について答える責任があるはず。

・なぜ狙撃犯のいたAGRビルの屋根に、だれも配置しなかったのか?
当初、地元警察(ビーバー郡のカウンター・スナイパー・チーム、と報道された。)が配置予定だった、と報道された。しかし実際には配置されることはなく、また米シークレット・サービスにはその事が伝わらなかった、と言われていた。

しかし実際には、そのAGRビルの屋根には、米シークレット・サービスのカウンター・スナイパー・チームが配置される計画だったが、”屋根の上は暑いから”、という理由で配置されなかった、と判明した。要人警護のために、”熱いから”、という理由で配備しない、などあってはならないはず。

・地元警察から監視用ドローンの提供が米シークレット・サービスに申し入れされたが、この申し出は断られた。
本来、米シークレット・サービスが監視用ドローンを配備しなければならなかったはず。百歩譲って、何らかの理由でできなかったとしても、わざわざ地元警察から申し入れがあったのを、何故断ったのか?この現場責任者には、本当にトランプ大統領候補を警護しようという意識はあったのか?仮にメンツから断ったとしたら、その事だけで、この現場責任者は職務放棄とみなされ即刻解雇されなければならないはず。

・5:45には、地元警察がAGRビルの屋根の犯人を目撃した、と米シークレット・サービスのカウンター・スナイパー・チームの一つに通告し、その通告は受領確認された。
しかし、米シークレット・サービスの警護チーム内には、その警告はなぜか連絡されず、共有されなかった。結果、何らの対抗策を取られなかった模様だ。
さらに、一人の地元警察官(バトラー市警?)が、屋根のひさしにぶら下がり、体を持ち上げてみたとき、犯人からライフルを向けられ、やむを得ず両手を離し、下に落ちた。この決定的な目撃情報がなぜ米シークレット・サービスに警告されなかったのか、あるいは通告されたのに、無視されたのか?

・犯人が狙撃を開始した6:11の3分前、つまり6:08には、スナイパー・チームはライフルをもつ犯人を目視していた。
なぜ実際に狙撃を始め、トランプ大統領の耳をかすめ、さらに聴衆の一人が射殺され、数名が重症を負った後まで、犯人を狙撃するのを待ったのか?その射撃許可が遅れたのはどんな理由で、射撃許可を出してのは誰だったのか?

・CSU(Counter Surveillance Unit) 反偵察チームは配置されていたのか? 
今回のような要人暗殺や銀行強盗等の犯罪犯は、犯行現場を事前に偵察し、犯行計画をたてる。その犯人の偵察行動を監視するチームであるCSUは、通常は監視対象イベントの1週間前から、イベント会場周辺に配置される。そして、会場周辺を調査分析し、考えられる警護の弱点とその対策をたて、事前報告する決まりになっている。
米シークレット・サービスでは、このCSUには、最も有能なエージェント(有能だからこそ無能な上司には逆らい、上司から嫌われて、現場に長期間配置されるらしい。)があてられるのが慣習になっている。そのCSUは今回の暗殺未遂事件の現場に配置されたのか否か、未だに公表されていない。

7/31 上院公聴会 画面左がロー長官代理 右上が質問する上院議員

なぜ、ロー長官代理は、”現場責任者は誰だったのか?”、という単純明快な質問に答えようとしなかった、あるいは答えられなかったのか?

それは、その責任者が諮問召喚されると自分が困るからだ、だから、”言葉尻をとらえて”、回答をはぐらかす。例えば、”decide” 決める、という単語を、”responsibility" 責任という概念に置き換え、”まだ調査中の事象について、誰にも責任を取らせられない”、と論点のすり替えをする。そして、その現場責任者の人権を守り、個人情報を秘匿するためだ、と言い逃れる。

私の個人的なロー長官の印象は、”とにかく失態を隠蔽するため、実際の責任者を隠そうとする”、そのため、言葉巧みに質問の主旨をそらし、また論点をすり替える、というエリート官僚が得意な答弁だけはうまい、という事。我が国の官僚にもいるのだろうが、こうした職務の遂行能力はないくせに、いや、だからこそ責任隠蔽にのみ長けた高級官僚が多すぎる、と思う。しかも、彼らは、いかにも”自分は賢く、質問する議員が間抜け”、というていで、高飛車に、人を小ばかにしたような話方をする。こうした演技をみて、”この官僚は信頼できる”、と思う人がいるのが、私には不思議でならない。

・テッド・クルーズ上院議員

”バイデン大統領とトランプ大統領候補の各々に割り振られている、米シークレット・サービスの警護人数はどれくらいの比率なのか”、と質問した。

テッド・クルーズ上院議員

トランプ大統領候補は、実際に銃弾を受け、また射殺された聴衆一人と重症の二人がいる。”後づけ”ではなく、この演説集会の要人警護の危険度合は、事前に分かっていたはず。

ロー長官代理に質問するテッド・クルーズ上院議員(一時、共和党の大統領候補として目されていたこともある)

本来の要人警護体制の優先順位は、その要人の職位(例えば現大統領と前大統領)ではなく、その要人に対する暗殺を含む危険度合で決められるべき。事実、トランプ大統領候補は銃弾を受けた。当然のことだが、警護体制の優先順位を、”好きか嫌い”か、とか、自分の出世と保身のために決める事は許されるはずもない。

このクルーズ上院議員の質問に対し、ロー長官代理は、質問の主旨をひねり倒して、現大統領と前大統領の警護は決められた通りに、遂行されている、としか答えなかった。

ロー長官代理

さらにクルーズ上院議員が、”私は比率、例えばトランプ大統領候補の警護人数を1とすると、バイデン大統領には何倍の人数をかけているのか? 2倍なのか、3倍なのか、それとも5倍なのか?”と再度質問した。

するとロー長官代理は、”現職大統領は米軍の最高指揮官であり、核のボタンを押す権限のある唯一の要人であり、、、、、”、と優先順位を決めるその理由を説明し始めた。

あまりにも的外れな論点ずらしに、クルーズ上院議員は、”優先順位をつける理由を聞いているのではない、具体的な比率を聞いているのだ”、と声をあらげた。

しかしロー長官代理は、その指摘を無視して、さらにまとはずれな回答を続けたので、クルーズ上院議員は、とうとう、”私の質問を、遮るな!簡単な質問に答えろ!”、といわば最後通告をした。

ついに逃げ場のなくなったロー長官代理は、それでも回答をさけて、”後で報告する”(今はその比率は分からない)、と要人警護の実質的な最高執行責任者として、無責任極まりない答弁だった。

このような、ロー長官代理の、”論点ずらし”、そんなことも知らないのか、という”上から目線”、いかにもエリート官僚的な”高飛車”な答弁、に私も辟易した。

ボンジーノ氏が、暗殺未遂事件についての執行責任者であったロー前副長官を長官代理に昇進させてのが、そもそもの大間違いだと、指摘してきた。私もこの答弁を聞いて、その通りだと思った。

肝心なのは、こんな答弁をするロー長官代理の元では、とても米シークレット・サービスを立て直し、トランプ大統領候補、JDヴァンス副大統領候補を守る事などできない。もちろん、現バイデン大統領、ハリス副大統領、さらには民主党の副大統領候補も守れない。

事実、米シークレット・サービスは、トランプ側に、”屋外での演説集会はやめるように要請した”、とのこと。しかしトランプ側にとって、屋内の集会では入りきらない支援者がいるので、どうしても屋外の集会を辞めるわけにはいかない、とこの要請を拒否した。
万一、第2、第3の襲撃があったとしても、米シークレット・サービスは、”屋外集会は辞めるように”要請したにも係わらず、トランプ側はその要請を無視して、勝手に屋外集会をした。だから、責任はトランプ側にある”、と責任逃れをするのが目に見えている。

ボンジーノ氏と同じく、私が最も危惧するのは、トランプ選挙対策チームが、どのように屋外集会の安全をどのようにして担保できるのか、である。望みたいのは、退役軍人や元米シークレット・サービス (例えばボンジーノ氏自身を含めて)、元警察官等の要人警護のベテランを施設警護団として雇用して、警護体制を構築することだ。


以下、もののついでの余談を一つ。

英語はできない、という人は、できれば私の記事を読み、我が国の保守派論客のトランプ評との違いを比べてもらえると嬉しい。ただし、島田洋一先生のトランプ評は、私の評価よりも、冷静で正確な評価をしておられる。ぜひ島田先生のXをフォローし、ポストを読まれることを強くお勧めする。

これはあくまで参考として聞いてほしい。これらの会話が、7,8割聞き取りできて内容が理解できる人は、例えばTOEICテストなら940点以上の英語力はある。ただしアメリカ人同士の早い会話に慣れる必要はある。最初はアメリカ人同士の早口英語についていけないくても、同じシーンを繰り返し聞いていくと、徐々に聞き取りできるようになる。

自身の英語力を知るためにも、ぜひ一度試して頂きたい。そうして、多くの日本人、特に保守派の人々が、自分の目と耳でアメリカでの出来事とその分析評価を知るようになると、反トランプ派は減っていくように、私は思う。

最後まで読んで頂きありがとうございます。
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