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放課後パーソナリティー後編

友人と初めての『ラジオごっこ』を経験し、大興奮した数日後、クリスマスがやってきた。


我が家ではクリスマス=年に一度おもちゃが貰える日であり、ラジオ収録をした友人とクリスマスプレゼントプレゼンを毎年行う習慣があった。


クリスマス翌日。

友人宅でプレゼンが始まった。先行は友人。


友人「じゃーーーん!!!」


黒くて四角いものが登場。

よく見てみると、テープレコーダーであった。


え、何で?

友人はさほど音楽を聴くタイプでもないので疑問に思っていると、



友人「これでラジオ録ろう!!」


え!?ラジオ録る!?!?


こないだ喋れへんようになってたのに!?!?!?


というか、ラジオ聴いたことないやん!?!?!?!?


あのクオリティで味しめたん!?!?!?!?!?


貴重なクリスマスプレゼントを私との遊びのためだけに選んでいいん!?!?!?!?!?!?


私は年に一度買ってもらえるおもちゃを一年間熟考している為、友人の選択に大変驚いた。


私「そうやな!これやったら録りやすいし、便利そうやな!」


どの立場から言うてんねん!な返しをした後、友人主導でラジオ収録をすることになった。


コンセプトは特になく、友人の質問や喋りに相槌を打てばいいらしい。


二人「〇〇と〜〇〇のラジオ〜!!」


友人「今日はクリスマス翌日です!このラジオはクリスマスプレゼントでもらったテープレコーダーで行なっています!」


私「そうですね!」


友人「これで沢山ラジオが録れます!!クリスマスといえばホワイト・クリスマスですよね。ロマンチックで憧れますよね〜。」


友人の一人喋りが続く。

私は『笑っていいとも!』の定番相槌しか打っていない。


これはラジオなのか??面白いのか???疑問を感じながらも適当にうん、うん、頷いていると、


友人「もー!!〇〇ちゃん、ちゃんと喋ってよ!!!」



え!?怒ってる!?!?


絶妙なタイミングで相槌を打っていたはずだったが…


友人「私がクリスマスの話してるねんから、入ってきてよ!」


いやいや、入るも何も、ホワイト・クリスマスに憧れるってなんやねん。クリスマスやなくても雪降ったら嬉しいやろ。ロマンチックってほんまに小4か?バブルの時の月9の再放送見すぎちゃうんか?


とは言わず、



私「え!〇〇ちゃんが自分の話ばっかりしてるから聞いてるんやんか!」


オブラートに包まず、野茂英雄のトルネード投法くらい間を空けて返答。

(当時、野茂英雄さんは日本人初のメジャーリーガーだった。)



友人「もういいわ!やめよ、やめよ!!」


私「やめるんいいけど、二人でやってんのに会話にならへんのはラジオちゃうからな!」


拗ねる友人にとどめを刺す私。


今ならクリスマスプレゼントを自慢したいこと、二人で遊んだことが楽しくて今度は自分主体でやりたかったこと、バブルの頃の月9の再放送が好きでとても憧れていたこと。


全て理解できる!!!


私は子供だったので、その気持ちが分からなかった。


ラジオへの憧れが強いが故に本物志向が強く、ラジオを知らない友人が主導権を握っていたことを少なからず面白くないと思っていたのも事実。


その後は一旦家に帰り、ご飯を食べ、しばらくたってから友人に悪いな…と思い謝りに行った。


あっさり仲直りし、日が暮れるまで遊んだ。


この出来事のインパクトが強すぎたせいか、自分のクリスマスプレゼントを未だに思い出せないのであった。


つづく

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