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11月の楽しみ舞台!7本

11月、楽しみな舞台がありすぎて、絞りきれない……!!
なんとか7本にしてみました。

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(公演順)
▼11/3(土・祝)〜18(日)
 『セールスマンの死』
▼11/8(木)〜18(日)
 さいたまネクスト・シアター
 世界最前線の演劇2ドイツ/イスラエル
 『第三世代』
▼11/9(金)〜25(日)
 『銀杯』世田谷パブリックシアター
▼11/20(金・祝)〜12/16(日)
 『ロミオとジュリエット』
▼11/23(金・祝)〜25(日)
 オドリに惚れちゃって!
 田中泯ダンス『形の冒険』
▼11/24(土)〜12/9(日)
『命売ります』
▼11/29(木)〜12/23(日・祝)
『民衆の敵』
※上記は東京公演の日程のみ。ほかそれぞれツアーなど。
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これにまだフェスティバルや小劇場やダンスもあるので、大忙しだわ……!楽しい!!

『セールスマンの死』
11/3(土・祝)〜18(日)@KAAT 神奈川芸術劇場

映画がとても有名。フレデリック・マーチが主演した映画(51年)は各映画賞を受賞。人生の味が肌を何度も塗り上げていく素晴らしさ。だけれど漂う温かさと虚しさにちょっと落ち込んでしまった。ある程度、年齢を重ねれば感想は違うのかも。ダスティン・ホフマン主演でも85年に映画化されていて、こちらも見てみたけど、51年と違ってカラー映画なのでそれだけでさっぱりスッキリとした印象に。色味がつくと、鮮やかになる反面、軽くもなるのね。

でもこの作品、もとは映画ではなく舞台で、1949年初演、ピューリッツァー賞とトニー賞を受賞。作者のアーサー・ミラーは、後述の『民衆の敵』のアメリカ上演戯曲も手がけている。

日本でも何度か上演されているが、今回の主演は風間杜夫さん。
落ちぶれてしまったかつての敏腕セールスマン役が、なんて似合うんだろう(予想です)。優しく柔らかい身のこなし、困ったような表情、怒ったような言い草、可愛げがあるけれど怒らせたら怖いとも感じさせる。34歳の頃に出演されていた『スチュワーデス物語』はとにかくかっこ良くてスマートで、可愛らしさもあって素敵だった。教官〜!!!今の風間さんから、その35年前のの香りがふとよぎることがある。身のこなしにギャップと時間の流れを感じさせる方だなあと思う。

チラシビジュアルが、ただ一人椅子に腰掛けて俯く風間杜夫さん。となりに浮かぶ文字「夢を間違えたんだ。全部、全部、間違えた」。

間違えたのが「人生」でも「選択」でもなく「夢」というのに、ぞわぞわと心臓を撫でられる。俺の夢、子どもの夢、アメリカの夢。
風間杜夫さんは椅子に座っているものの、床はなく、白光りする灰色の空間に浮かんでいるようだ。その様子は足場のない人生と孤独を想像させながら、病室のようでもある。

「夢を間違えた」その言葉が自分の人生で発する瞬間があるだろうか、と思うと、落ち着かない。


さいたまネクスト・シアター
世界最前線の演劇2 ドイツ/イスラエル
『第三世代』
11/8(木)〜18(日)@彩の国さいたま芸術劇場

イスラエルとパレスチナの紛争は終わる気配を見せない。今、この時、実際に起きている痛ましい出来事。解決していない。ただとても重要なのは、これが「私たちの日常と距離がある場所の出来事」だということ。

日本の日常に自爆テロはない。生まれた時から家や国を追われ、家族を奪われ爆撃に逃げ惑う日常はない。そんな私たちは、今そこにある事実や、今この現実に生きる人たちを「消費」せずに作品を創り、鑑賞できるのか?血と涙と人生のすべてを削っている人に、面と向かって対することができるのか?

「当事者性とその認識」は人にまちまちだろうけれど、どんなに素晴らしくクオリティの高い作品だろうと、社会に生きる芸術家ではない人々を素材にし、糧にして自己実現する作品を観るにつけ、憤りを感じる。
多くの社会問題を手がけてきた中津留章仁さんの舞台は、いつも正面切って、現実の社会問題に人間として向き合っていると感じる。だから信頼できる。「消費」ではなく、現実の先を見ているから。
今回、原作のある『第三世代』をどう舞台に立ち上げるのか。期待が自然と高くなります。

この舞台で取り上げられるのは、今も続くドイツ・イスラエル・パレスチナをめぐる対立。その根元を体験していな“第三世代”の若者達。各国の彼らが出会った時、何が起こるのか? イスラエルとパレスチナを取り上げた作品やイベントはいくつもありますが、ドイツとの三国というのは珍しい気がする。2008年初演では三国の俳優が共演。今回は、次世代を担う俳優たち「さいたまネクスト・シアター」の面々が演じる。
個人的にはただただ、イスラエルやパレスチナの空の下、爆撃とともに生き、爆弾を腹にくくりつけて死んで行く若者たちの前にまっすぐに立つことができる作品を期待。


『銀杯』
11/9(金)〜25(日)@世田谷パブリックシアター

主演の中山優馬さんは、情熱的で真面目な舞台での姿勢が好ましく、世田谷パブリックシアターという大きな舞台でどう立つのかが楽しみ。彼の熱のある演技なら、きっと客席奥まで届くのではないかなと予感!
20名以上の出演者の顔ぶれを見ても、魅力的な方が多い。さらに演出は森新太郎さんとくれば、丁寧に下支えされた劇世界を立ち上げてくれるのでは……ドキドキ。

演出の森さん、美術の伊藤雅子さん(『謎の変奏曲』タッグ!)の組み合わせも期待。緻密かつシンプル。『謎の変奏曲』では作品の構造を強く組み立てる美術だったので、「あの美術ってこういう意味がある!?」と考えて興奮したなあ。国広和毅さんの音楽も楽しみの一つ。

舞台となるのはアイルランドの首都ダブリン。
中山さん演じる主人公はフットボール選手。
タイトルの『銀杯』は優勝カップのこと。


『ロミオとジュリエット』
11/20(金・祝)〜12/16(日)@本多劇場

多くは語るまい。
シェイクスピアの有名な悲恋を宮藤官九郎さんが演出するとなると、期待しかない!!
出演者の顔ぶれを見ても、全く予想できない舞台になりそう!


田中泯 
―オドリに惚れちゃって!― 『形の冒険』 
11/23(金・祝)〜25(日)@東京芸術劇場

彼が一度舞台に出た時からの一目惚れ。
“田中泯”という名前も聞いたことがなかったのに、誘われて観に行ったどこか地方でのステージ。まだ客席の明かりもついたまま、ただ静かに走り出てきて舞台の上をぐるぐると走り続ける。いつしかおしゃべりをしていた客席のざわつきは消え、誰もが静かに舞台を見つめている。走るだけの田中泯を。

そして、10分ほど走った後、その駆けるスピードのまま舞台袖へと消えていった。息をしているかも忘れていた10分。ただ10分は体感なので、実際は何分なんだかわからないのだけど。

それで一目惚れ。

映画『メゾン・ド・ヒミコ』や『たそがれ清兵衛』も好き。


『命売ります』
11/24(土)〜12/9(日)@サンシャイン劇場

68年に書かれた三島由紀夫の長編小説の舞台化。
自殺に失敗した27歳の男が「命売ります」と新聞広告を出す。続々あらわれる依頼人達との、あれやこれやの物語。
いわゆる”三島文学”とは言えないエンタメ小説なのが面白い。今年春(2018年1〜3月)に中村蒼さん主演でドラマ放送された。田中泯さんも出ていた。

ノゾエ征爾さんの真面目さと可笑しみが入り混じる懐の深い演出が、作品と面白い相乗効果をうむのじゃないかな、と期待。

チラシの、ショーケースに一体ずつ入ったリカちゃん人形のようなビジュアルが、命の“カタログ”に見えつつもコミカルなデザインで見ていてニヤニヤしちゃう。

三島小説の舞台化は11月3日(土・祝)より『豊饒の海』(東出昌大ら、東京・紀伊國屋サザンシアター)も上演中。こちらも気になる。


『民衆の敵』
11/29(木)〜12/23(日・祝)@シアターコクーン

今年の「ふじのくにせかい演劇祭」でも上演された『民衆の敵』。ドイツ演劇界最大のスター、オスターマイアー13年ぶり待望の来日!とチケットがすぐに売り切れた上演でしたが、同じ作品を堤真一ら日本キャストで上演。

この作品、9月に中国で上演された時に中止になったんです。

ニュースより
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「民衆の敵」は19世紀後半、ノルウェーの田舎街を舞台にした物語だ。開業医トマス・ストックマンが町の環境汚染問題を発見し、汚染の実態を新聞に投稿しようとしたが、弟や政府関係者、記者などに強く阻止されたというストーリー。
  (中略)
一日目の公演終了後、予定通りに出演者と観客の交流会が行われた。その際、出演者から「環境汚染の真相を公表したい主人公の考えに賛成するかどうか」という質問が出た。

独メディア・ドイチェベレ(13日付)によると、シャウビューネ劇場のトビアス・ファイト(Tobias Veit)総監督は、中国人の観客が活発に発言した。なかには「中国にも環境汚染問題がある」「(中国に)言論の自由がないことが大きな問題だ」との声が多数あったという。

これを受けて、国家大劇院は劇団に対して、翌日から公演終了後の交流会を取りやめるよう指示した。
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日本ではどう捉えられるのか?
作品ももちろん、どういう感想をお客さんが抱くのかがとても楽しみ。

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