【note深夜枠】若きひとよ

 わたしは、何も成すことができなかった愚かな大人です。学と名のつくあれやこれやを抱えているけれど、どれひとつと実を結ばず。知を前にして、黙って座り込んでいるだけ。また、ともに土を耕し、種を蒔いてくれたひとたちに何ひとつ返すことができなかった。

 わたしは、何者にもなれなかった愚かな大人です。飼われ、養われ、自由も不自由も知らず、感じず。無名で、無価値で、世界とひとの役に立つこともないまま、ただただ朽ちていく。

 わたしのような大人にはなりたくないと、あなたが考えるのは当たり前で、あなたが真っ当なひとである証だと思うのです。あなたが、もし、自分の若さや青さが失われつつあることに気づき、恐れを感じようとも、「あんな大人にはなりたくない」という太く強い意志を、どうか大事になさってください。