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note深夜枠

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ひとには、深夜枠だから書けることもあるんですよ。
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大人になっても癒えない傷がある。 根本的なことが変えられなくても、誰かと傷の痛みを分けあいたい夜に仲間を探して。 #深夜枠 #真夜中の遠吠え

どうにかなんとか生き抜いてきた。 なんやかんやで生き残ってしまった。 なんもなくなんとなく生きてきた。 どうあっても「よく生きてきたね、頑張ってきたんだね」と抱き合えたら。

【深夜枠】明日、海を見に行こう

海にもいろいろあります。大きな海、小さな海、自分から遠い海、近い海、冷たい海、暖かい海、明るい海、暗い海…もっともっとたくさん。 だけど、どれも海であることには変わりありません。海はどこかでほかの海とつながり、どこまでもどこまでも続きます。 あんまり果てしなく続くから、どこのどの海にいたって、漕ぎ出してきたどこかの誰かに必ず見つけられる。 海に裏はないし、逃げも隠れもできない。 海も、脱ぎたくても脱げない自分が生きている現実そのものなんだと思うんです。 自分の存在する現

【深夜枠】苦労のその先

車椅子と子どものコラボはそれなりに目立つようで、知らないひとによく声をかけられる。 「お手伝いすることはないですか」と声をかけてくるひともいるけれど、たいてい「過去にあったであろう不幸」を一方的に労われ、「今後味わうであろう幸せ」を無責任に押し付けられた挙句、わたしが呆気にとられているうちに、相手はささっと立ち去ってしまう。まるで通り魔。 近所のスーパーで知らないおじさんから「良いものを見せてもらいました」と拝まれたときは、さすがに吐き気がした。悪意はないのだろうけれど、

【note深夜枠】若きひとよ

わたしは、何も成すことができなかった愚かな大人です。学と名のつくあれやこれやを抱えているけれど、どれひとつと実を結ばず。知を前にして、黙って座り込んでいるだけ。また、ともに土を耕し、種を蒔いてくれたひとたちに何ひとつ返すことができなかった。 わたしは、何者にもなれなかった愚かな大人です。飼われ、養われ、自由も不自由も知らず、感じず。無名で、無価値で、世界とひとの役に立つこともないまま、ただただ朽ちていく。 わたしのような大人にはなりたくないと、あなたが考えるのは当た

ここから見える海はね。

以前、こんなことを書いたことがありましたが。 わたしが海へ行くのは、「ほんとうのわたし」を晒したり、「本音」を吐き出したりするためではないような気がして。 というのも、「ほんとうのわたし」なんて、うつろいやすくて、自分でも掴めやしないんだから、晒しようがない。「本音」だって、ことばにしないからこそ、本音なのかもしれない。「ほんとうのことは言っちゃだめなんだよ」って、子どもの頃からよく叱られていました。 海は、ほんとうに、どこまでもどこまでも広いから、「誰にも見つかりたくな

【深夜枠】匂い

匂いに敏感な方、いらっしゃいますか。 わたしは、匂いにとても敏感です。 匂いを使って、毒や危険を避けています。 嫌な臭いがするなぁと感じるもの、ひと、場所。 だいたい、自分とは合いません。 そして、自分から嫌な臭いがしていないか、常に確認しています。 制服や髪に染み付いたタバコの臭いが嫌いでした。 もわっとむせるような、熱気を帯びたお酒の臭いも嫌いでした。 病気になって以来感じるようになった、薬のようなツーンとする臭いも嫌いです。 「そんな臭い、普通の子には