見出し画像

《J-POPが好き》槇原敬之「君の名前を呼んだ後に」

胸があたたかくなる曲です

「あれだけ熱く槇原敬之について語ったのに、
最初のおすすめがオフコースだなんて。」

そう言われて、今回は槇原敬之についてお話しすることにしました。
おすすめするのは、槇原敬之「君の名前を呼んだ後に」です。

2003年5月に発売されました。
住友生命保険の松嶋菜々子さんが出演する
テレビコマーシャルで使われていました。
シングルですし、ベストアルバムにも入っているので
聞いたことがある人は多いと思います。
ただ、オリコン最高が11位なので
記憶に残っている人は少ないと思います。
メジャーな曲ではないです。

私もはじめてこの曲をきいたときは、
コーヒーだなんだかんだ言って
ビミョーだと思っていましたが(笑)
何度もきいてているうちに好きな1曲になりました。

大切な人を思いながらきくと胸があたたかくなります。
とてもほっこりする曲なので紹介したいと思います。

早く君にあいたい

敬之にはつきあって3年になる幸子という恋人がいた。
敬之と幸子はときどきケンカもしたが、
いつもいっしょのラブラブのカップルだった。

ところが、ささいなことからケンカになった。
まさに売り言葉に買い言葉だった。
それでも、敬之はがまんできないほど頭にきて
勢いでうちを飛び出してしまった。

すこし時がたち気持ちが落ちつくと、
「少し言いすぎたな」と敬之は反省した。

「そろそろ帰ろう」
そう思って敬之は駅へ行った。
さびれた、いなかまちだ
何もかかれていない看板の方がおおい。
広告の看板もあるが、
どれも見なれない名前のものばかりだった。
「八王子きぬた歯科か」
その看板をみて
自分がとても遠くまできたことに
敬之はあらためて気づくのだった。

電車までは、まだ1時間もあった。
敬之は、時間をつぶしたかったが、
こんな田舎では喫茶店も見つけられそうにない。
敬之が仕方なく駅を歩いていると、
待合室にカップの自動販売機があるのを見つけた。
100円玉を入れ、コーヒーのボタンを押して
しばらく待つと「ピピッ」っと音が鳴る。
コーヒーを取り出そうとして
カップにふれた瞬間「熱いっ!」
敬之は、伸ばした手を引っこめた。
あぶなくカップでやけどするところだった。

敬之はそっとコーヒーを取りだし、
待合室のいすにすわった。
あつあつのコーヒーをフーフーして
少し冷ましてからすすった。
いつも飲んでいるカップコーヒーの味だった。
自動販売機には本格焙煎などと
たいそうなことがかかれているが
「たいしておいしくはないよな」
そうつぶやいた。
こんな遠くでもカップコーヒーは
いつもと変わらなかった。

「そう言えば・・・」
敬之は去年幸子と一緒にいった温泉旅行のことを思い出していた。
「あのとき雪で帰りの電車がおくれて
待合室で電車を待っていたっけ。
あのときもふたりでカップコーヒー飲んだよな。」
そう思いだしていた。

敬之は急に幸子のことが気になりはじめた。
「今ごろなにしているかな?
明日は仕事だから、もう家に帰っているかな。」

敬之は幸子に早くあいたいと思った。
「まだ、怒っているかな?
『敬之、おかえり』っていってくれるかな?
それとも、ひどいことを言われるのかな」
幸子に何をいわれるのか心配にはなったが、
いますぐあいたいと思う敬之だった。

今日は日曜日、いつもならデートのはずだ。
僕がいなくてさみしくしていないかな?
「幸子も早く帰って来てこないかなって
思っていたりして!」
と期待する敬之だったが、
いなくて羽をのばしているのではないかと
考えて悶々としていた。
いっしょにいることが当たりまえになりすぎて
それがとても幸せなことだとは
気づかなかったと反省した。

「あのとき、ふたりで飲んだカップのコーヒー
かじかむ指をカップであたためたっけ。
ふたりでいっしょならあたためあえるんだな。
それならカップのコーヒーも悪くないな」
敬之はそう思った。

「幸子にあいたい、あいたい、あいたい」
電車の中でそれだけを思っていた。
そして敬之は、幸子にあったら
いちばんさいしょにこう言おうと決めた。
「幸子、いつもそばにいてくれてありがとう」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?