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1986年に青森のタウン誌で書いた原稿が出てきたので転載しますw

今から35年前の1986年に、当時在籍していた青森のタウン誌編集部で、持ち回りの記事スペースを担当する順番が回ってきた、という背景があって書くことになったもののようです。

当時、おいらは大学3年で、月の後半を編集作業の為に弘前から青森まで通う生活を送っていました。なので、記事のところどころにあの頃のことを思い出させる記述があって、個人的に感慨深いものがある内容になっています。あの頃は青函連絡船が函館との間を行き来していて、青森駅には絶えず行き交う人の流れがありました。

それにしても、この原稿のおいらは色々若いw

ちなみにこれ、元々は原稿用紙に書かれていましたが、雑誌に載ったものを20年以上経った2009年にブログへアップロードしていて、そのテキストファイルが今回出てきたのでコピペし、noteへもってきております。しばし、昭和の香りを楽しみくださいw


●編集長かく語りき

「血液型占いなんて当たんねーだろ!?」
そう編集長に言われたボク。見ればギロリと鋭い視線が。世間話じゃないことはすぐにわかります。ふう。取りあえず肯いておきましょうか。
「当たんねーよなぁ!?」
1回肯いただけではダメということのようです。もう一度ボクは肯きます。
「記事にできねーかな!?」
あ。来ました。これはどうやら。
「書けよ!」
やはり。

というわけで、今月の『噂以上特ダネ未満』はボク海辺野土衛門(ここには私の本名が記されています)が担当することになりました。
取りあえず、大きな写植を使って「日本人を4種類に色分けする血液型占いはホンモノなのか!?」とタイトルをつけるところから始めたいと思います。Are You ready ?

誰が言ったか知らないが、言えば誰もが「ああ、アレね!」と思い描くもの、その代表格が編集長曰く「当たらないだろ」の血液型占いです。強引ですが、そうなんです。そういうことにして下さい。
早速、図書館に行って色々調べてみました。いつどこで誰がどんな風に始めた、これで少しは原稿用紙が埋まるだろ、と軽く考えていたんですが、それを教えてくれる資料は一切ありませんでした。困っているボクの血液型はA型です。

一応、週刊誌や新聞のバックナンバーも見ました。占い記事は12星座を使う、が1986年のナウだということがわかりました。へぇ、先月の獅子座は絶好調だったのか。宝くじ買ったら当たってかもしれないんだ。ふーん。
いや、そうじゃない。
取材を進めなければ。

●書を捨て、街に出でよ

そこで、街に出てみることにしました。新町通りを歩いていた老若男女20人の方に協力をお願いして、血液型占いを知っているか、それについてどう思っているかを色々聞いてみたわけです。

知っている人:18人/知らない人:2人

認知率90%は、多分青函トンネル完成予定日を知っているか?よりも遥かに高い数字ではないかと思います。とにかく、お婆様がご存知だったのにはビックリ仰天。
大したもんです、血液型占い。

知っている方には「信じていますか?」と質問してみました。
すると18人中10人がYes、残り8人も「信じてはいないが、あるかもしれないとは思っている」と肯定的なお言葉ばかり。そして皆さん、自分の性格と血液型を結び付けて一言、二言解説をして下さいました。更に、他の血液型の人の印象まで。ありがとうございます。
ひとまず、大雑把にまとめてみました。

●A型(申告者9人)
真面目。神経質。整理整頓が好き。冗談が下手。
●B型(申告者7人)
自己中心的。小さいことは気にしない。一方通行を逆に走れる(え?)。
●O型(申告者2人)
大らか。負けても平気。
●AB型(申告者0人)
酔っ払うと面白い。

ボクで言えば、4打数2安打というところです。整理整頓が嫌いで、真面目ではないですから。A型はマリオがうまいよ、と教えてくれた男子高校生の君、これは残念ながら当てはまりません。ごめんなさい。でも、的中率50%となると、侮れないといえるのかもしれません。
少なくともクロマティの打率よりは高いんですから。

それから、AB型の特徴は血液型占いと関係ないのではないかと思います。
多分。

でも、何で知りましたか?という質問を向けると、何故か皆さんしどろもどろに。「何かの本で見た」、「友達に聞いた」のどちらかに振り分けられてしまいました。結局は懐かしい口裂け女の如く、皆が知っている噂のようなものなんでしょうか。

それを裏付けるものとして、この記事の取材中に行った三沢でアメリカの方からこんな話まで聞いてしまいました。なんと、彼らはこんな占いがあること自体初耳だというんです。
それ以前に、AとかBとか自体に重きを置いていないと言います。それよりも、RHだろ?+か−かだろ!だそうです。
「輸血が必要な時に知らなきゃいけないものを気にしなくてどうするんだ?」
至言にして金言です。ぐうの音も出ませんでした。
何だか、アメリカ軍に完膚無きまでに空爆されたような気持ちになってしまいました。ならば、イギリスやオーストラリアに飛んで、どっちが正しいのかを追いかけつつ、国際色豊かな誌面を目指そうと一瞬だけ思ったのですが、取材費が下りないことは明白なので思うだけにしておき、後は結果を想像することにしました。血液型占い旗色悪し、と。

●我思う、故に我あり

しかし、血液型での分類を日常的に楽しみ、どこかであるなと思っている日本人の気質を無視することはできません。そこで、「これからご飯を食べに行こう」と誘った時、OKしてくれた相手の反応を血液型別に思い出してみることにします。
A型の人
どこに行く?何を食べる?と予定表を一つずつ埋めるような反応だった。
B型の人
あれが食べたい、あそこで食べたい、と希望を羅列する傾向が強かった。
O型の人
どこでもいい、とこちら任せだった。
AB型の人
行く途中で洋服を見るのに夢中になり、結局食事はロッテリアのセットになった。

こうして振り返ってみると、街頭アンケートの結果と符合する点も多いような気がしてきます。
やはり血液型は、多少なりとも我々の人格に影響を与えていると見ていいのでは?ここから先は有識者、医療関係者に研究を続けてもらうことにしてこの記事を終えてしまえばいい!と思っていたのです。

ところがです。
ところがなんです。

色々な方からお話を伺っているうちに、困ったことが起きてしまったのです。なんと、生まれてから20年以上も自分はB型だと信じていた人、その男はボクの隣に座っている工藤くんなんですが、昨年彼がヤクルト欲しさに献血をしたところ、自分がO型だということがわかったというのです。彼にB型だと言い続けていたのはお母さまで、献血の結果を見せたところニッコリ笑い「ジャン、ジャン」と言って逃げてしまった、と。
しかし彼は、ひどい話だ、輸血とかされなくてよかったな、と思うボクに向ってこう言いました。
「生まれ変わった気分だぜ」
と。
そして
「オレ、B型の性格大嫌いだから。O型で生きていけて幸せだぞ」
とまで。

おわかり頂けましたでしょうか。
この占いは、どうやら自分の血液型の特徴が頭のどこかに染みついていて、何気なく行動している時であっても、その血液型っぽいことを知らず知らずのうちにやっているだけだ、ということのようです。
今の工藤くんを見ていると、どこかO型っぽい性格になっているような気がしないでもありませんが、それは彼の脳みそがスイッチを切り替えたからに他なりません。占いではなく、彼の脳みその環境適応力を褒めるべきでしょう。

というわけで、ボクは血液型占いをジャン・ハロルド・ブルンヴァン大先生提唱の都市伝説の一つに組み込みたいと思います。
編集長、以上です。

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