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09 2/4-右隣の窓際に座る君の名は?

ロスから成田までの機内にて

 満席の機内で 時間つぶし用の本も手元にはなく 持っていたのはチケットやパスポートの入ったハンドバッグと プラスティックケースに入った何通かの契約書だけ。
帰国までに読み終えておきたい資料でもあったのでそれを取り出しました。すると窓際の女性が声をかけてきたんです。
『あなたは何を読んでいらっしゃるの?』
『いくつか契約書があって 帰国までには読み終えてしまいたいと思っています。』
『私の夫は弁護士なのよ。あなたの役に立てると思うわ。ねえジョージこの人を助けてあげて!』
『オッケー 何かお手伝いすることがありますか?』
『ああ ありがとうございます。まだ読み始めたばかりなので もしわからない事があったらその時はお聞きしますね。』
とは言ったものの お母さんにしてみると 弁護士に助けていただく程の問題はなく せいぜいがわからない単語を調べるくらいの物なのです。 
 それなのにこの女性はにっこり笑ってお母さんの様子をじっ
と見つめています。そして電子辞書に手を伸ばそうとしたその瞬間
『ねえ ジョージこの人を助けてあげて!』

ああ~イヤイヤ どう考えても”生きた英英辞書”よりは 手持ちの使い慣れた”英和電子辞書”の方が分かりやすいってば!
 そしてその後とうとうお母さんは電子辞書に手を伸ばすことさえできなくなってしまいました。

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