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祖父母の家に遊びに行ったあの頃は、私はまだ純粋な子供だった

 子供の頃遠出と言ったら母方の祖父母の家に遊びに行っていた。
だいたい車で1時間近くかかり、狭い路地をくぐると駅が見えて、その近くに祖父母の家がひっそりと建っている。

田舎だったから1時間に1本しか電車は通らなかったけれど、たまに電車が通ると家がガタガタと音がして振動がすごかった。

祖父母の家族が40年以上前に建てた家だったからとても古かった。建てた人は建築の仕事をしていたらしい。そして今も祖父母は黒電話を使っている。

元々は寮だったらしく、学生さんたちを住まわせていたけれど、今はもう祖父母の家のまわりは若い子たちがかなり少なくなってしまって、寮としてはもう使われなくなったらしい。
だから大広間の中で、祖父母だけ住んでいるのはちょっとさみしいと子供ながらに感じていた。

とても古い家だったから正直子供の頃は祖父母の家が怖かった。外からみると家の白い外壁があちこち黒ずんでいるのが怖く感じていたし、仏壇の近くに飾ってあった虎の掛け軸も夜になるとちょっと怖かった。

でも、私は祖父母の家にあった万華鏡がとても好きだった。中を覗けばキラキラしてて、回せばさらに色やかたちが変わっていくのがたまらなく好きだった。

パソコンもあってキーボードがあちこちとれてなくなっていたけれど、ぬり絵で遊ぶのがとても楽しかった。

 昔ながらのものってどこか温かさを感じていて、でもさみしさもあって。

でも、それが、私にとっては大切な思い出。
 このnoteを書きながら、一瞬だけ子供の頃に戻りたいなと思った。



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