![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145611179/rectangle_large_type_2_e4994956306887c467d4494f81c0f81c.jpeg?width=1200)
【観音霊験記 秩父巡礼】第四番荒木/荒木丹下
![](https://assets.st-note.com/img/1719661309523-PKZoG3XfLH.jpg?width=1200)
『観音霊験記 秩父巡礼第四番荒木 荒木丹下』
![](https://assets.st-note.com/img/1719661318684-aU2ZaHCIJK.jpg?width=1200)
観音霊験記 秩父順禮 第四番 荒木
あらたかに まへりてをがむ くわん世音
二世安楽と 誰も祈らん
奉額
やがて咲 花ぬくめんと 落葉かな
![](https://assets.st-note.com/img/1719661325205-hi0NIfzzzr.jpg?width=1200)
荒木丹下
此所に住 荒木丹下といふ者は、慳貪邪知因果の道理を知らねば、𩻄寡孤獨を恵まず、たゞ惡行をのみ業とせしが、
※ 「慳貪」は、けちで欲深いこと。
※ 「邪知」は、悪知恵のこと。
※ 「𩻄寡」は、𩻄は男やもめ、寡はやもめの意。
![](https://assets.st-note.com/img/1719721640382-dBQCLLIKCy.jpg?width=1200)
一時、一人の順礼門前に彳みて手のうちを乞ければ、「姦や、予 晝寢を妨げし。いで、手のうちを報謝せん」と立出、巡礼の柄杓を奪ひ取て「吾手のうちは是こふぞ」と打擲けど、
巡礼はいかるいろもなく「施しなくば言葉にても済べきに、手にも足ざる者をかく打擲くとは情なし」といふに、
丹下いよ/\怒りて「そも我國は神國にて、一粒の米だに神の宝なるを佛徒の者にあに施さんや。とく/\立去れ」と攻れば、
※ 「手のうち」は、ここでは乞食や托鉢僧などに与える金銭や米のこと。
※ 「姦」は、やかましいの意。かしまし、かしかまし。
※ 「晝寢」は、昼寝。
※ 「いかるいろもなく」は、怒る色もなく。
![](https://assets.st-note.com/img/1719721640402-kmYwaDGBAR.jpg?width=1200)
正なきことを言る人は、「神の性なれば、吾もそのうちなるを、左程神を尊もの吾を打擲するいはれなし。天子は民の父母には有ずや。施しうけざれば、我 飢死せん。佛は自他平等」と説給へりと言。
夫よりいち/\利を詰ければ、丹下一言もなく、発起して、此観世音を深く信じて大善人となりたるは不思議の㚑験なり。
※ 「㚑験」は、霊験。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖