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【梅園魚品図正】(46) 鰣魚(ゑそ)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『梅園魚品図正 巻1

鰣魚 ヱソ

『和名鈔』云  鰣  波曽
『本草』出   鰣魚 ヱソ

『本草』曰、大河の下、潮の通ずる處にあり。河魚也。夏間多し。大鼓なぞのなり物を畏る。雷をもをそる。是を取には、漁人大鼓をうち、舩をたゝき、板をならし、一方に追よせて取る。

此魚、肉に骨多し。乾しかはけるは、其骨外にあらはる。此魚、味よき故に、彭淵材が五恨の一に鰣魚に骨多きを恨むと云り。此説、最然り。

※ 「乾しかはけるは」は、かわけるは。
※ 「彭淵材が五恨」は、宋の彭淵材ほうえんさいがいう「平生有五恨」のこと。その一こん鰣魚じぎょ骨多しとあります。
 参考『沈静録 後』『支那人名辞書 中巻 4版』『魚の研究』(国立国会図書館デジタルコレクション)


午十二月二日 真寫

余、  ルニ レ之、肉の小骨甚多し。肉子ばり多し。乾して是をあぶり食。其味甚美なり。生魚なるは臭気あり。乾たるは香ひなし。上品なり。余、『本草』に説解とくが如し。

※ 「肉子ばり多し」は、肉ねばり多しと思われます。
※ 「乾して」は、して。
※ 「香ひ」は、匂い。



筆者注 『梅園魚品図正』は、江戸時代後期の博物家、毛利梅園による魚図鑑です。説明文書は漢文体が中心でのためパソコンで表示できない漢字が多く、漢文の返り点と送りがあります。読みやすさを考え、パソコンで表示できない漢字は □ とし、名称の場合はできるだけ [■は〇+〇] の形で示すようにしました。

また、漢文の返り点と送りはカタカナと漢数字、振り仮名と送り仮名はひらがなで記載しています。
この作品に引用されている文献については、こちらの note を参照してください。 → 【梅園魚品図正】文献まとめ

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