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江戸の花名勝会 と 十番組(市川市蔵)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『江戸の花名勝会 と 十番組

宮戸川は 出水傳 にごりかね
中汲でよく 隅田川

本名荒川と云。隅田村にかゝれば也。又、宮戸川とも。往古、はま成、武成、友なりとて、三人の兄弟ありて、○売のため川漁す。濱なりの網に観世音出現し給ふ。あがさの艸室に安置す。其堂人ゝ一の権げんと崇め、兄弟は三社権現と仰がれて、浅草の惣社とかや。

浅草○○は 聞ねと 鐘の声

※ 「中汲なかくみ」は、濁り酒の上澄みとよどみとの間を汲み取ったもの。『大日本国語辞典 巻3(中汲)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「はま成、武成」は、飛鳥時代の漁師 檜前浜成ひのくまのはまなり武成たけなり。漁をしていた兄弟の網に観音像がかかったことが浅草寺の縁起になりました。
※ 「あがさ」は、あかざと思われます。浜成は藜で御堂を作り、引き上げた観音像を祀ったとされています。


明ぬるか 千鳥しばなく 宮戸川
浅くさ寺の 鐘につゝきて ○忠しらす
漁し 濱なり

市川市蔵

市川市蔵の定紋は、蔓結つるむすちょうのようです。

隅田川の夕暮

本てうし 〽 夕暮れに
 ながめ見あかぬか すみだ川
 月に風情をまつち山 帆あげたふねが みゆるぞえ
アレ 鳥がなく とりの名の
 宮戸に 名所があるわいな

※ 「隅田川の夕暮」は、歌詞が少し異なっていますが、端唄はうた夕暮に」がベースになっています。
※ 「本てうし」は、本調子。

名勝会の挿絵には、浅草名物の楊枝ようじが描かれています。

名酒 諸白 隅田川

水屋 焼附法 本石一第通 月○○ 金文
水屋 焼附所 本石一中通 月○升 金文

※ 「諸白」は、よく精白した白米で作った麹と蒸米でかもした上等な日本酒。諸白もろはく
※ 「水屋 … 」以降は、文意を汲み取れないので誤読しているかもしれません…。



筆者注 ○は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字、誤字・誤読、読み解きの違いなどに気がついたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖