意味怖#11 「夜中に走る子供」

俺は正社員。仕事仲間と飲んで、色々と疲れたので道端のベンチで休憩する事にした。
何をする訳でもなく、ただぼーっとビル群の上に見える夜空を眺める。すると、足音が聞こえたため前を見てみると向こうの道を子供が走っている。子供はそのまま右に曲がっていった。
最近の子供は元気だなぁ、と思いながら子供を見つめる。
しばらくすると一人の女性が話しかけてきた。その女性は息を切らしている。
「あの、私の息子を見ませんでしたか！？」
ああ、さっきの子供が息子なのかな？
「見ましたよ。あそこで右に曲がり、直進してました」
「ありがとうございます！」
礼を言い、女性は再び走り出した。 
帰宅してテレビの電源をつけるとニュース番組が放送していた。どうやら速報で事件の事を放送している様子。
…俺は驚いた。なんと、親子殺害事件のようで、さっきの……が……殺されてる……
なんという事だ。子供は道端で、親は自宅で殺害されたらしい。
俺は自分の行いを激しく後悔した。

【解説】
殺人事件で殺されたのは先程の親子…ではありません。この意味怖は少し解説が長くなります。
まず、息子がどこにいるかを語り手に尋ねたのは殺人事件の犯人。息子は犯人に捕まり殺されてしまいました。
その証拠に、殺害場所として子供は道端…語り手が目撃したあの道路。しかし、親は自宅で殺害されています。普通、本物の親子ならば2人とも道端で殺害されていなければおかしいですよね？
つまり、先に自宅にいた親を殺害。それに気がついた子どもが逃走し、見失った犯人は語り手に道を尋ねた、という事になります