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意味怖#3 「勉強法」

英語のテストが返された。俺はいつも通り100点。隣の席の安藤が俺の答案を覗いては話しかけてきた。
「おい、佐藤…なんでいつも100点満点なんだよ」
「何って、どういう事?」
「勉強法とか教えてくんね…?俺さ、英語超苦手なんだよ…」
その言葉を聞いて思わずはぁ、とため息が出た。別に教えたら順位が抜かされるのが嫌とか、そういう訳ではない。
「なんだよ?そんなに嫌か?」
「いや、そうじゃないけど」
「じゃあ教えろよ」
「…あんまり教えたくない。なんというか、これ聞いても真似出来ないだろ?」
「ねー、お願い!本当に一生のお願い!お願いします!教えてください!!」
「そんなに言うなら、教えてあげるけど。俺はいわゆる英語漬けになったんだ」
「何?至って普通じゃん。あ、そのイヤホン…もしかして外国の曲しか聞かないとか?」
安藤は外れているイヤホンを片耳に付ける。
「日本の曲じゃん。なんで?」
「そうじゃないんだ、近所に霊園あるだろ?俺、あの日はもうすっごいイラついてて、あそこの墓を蹴ったんだ」
「急になんの話?」
「だから、英語漬けの話」
「いや、墓と英語漬けは関係ねーだろ」
再び自然とため息が漏れる。
「関係あるから話してんだよ、そんくらい分かれよ」
安藤は不思議そうな顔をして俺から離れた。



【解説】
語り手の佐藤は墓を蹴ったと言っていたが、その墓は外国人の墓。墓に危害を加えると祟があると言うが、佐藤は外国人の幽霊に取り憑かれて外国語を永遠に囁かれている。


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