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Prologue

① 特別参謀トリオ ヴァサラRPG (@ジョン・X・プロウ様)

【ラディカ(六番隊)「執念の復讐者」】
ジョンのことは:嫌い
ガリュウのことは:大嫌い
彼女の武器は妖刀の小刀である「三代村正」。何らかの異質な力があるらしく、代償も重い。実は誰よりもガリュウのことを心配している。昔は今とは真逆で白いワンピースをよく着ていた。

【ジョン・X・プロウ(六番隊)「本当にやる時以外やらん男」】
ガリュウのことは:あんまり好きじゃない
ラディカのことは:嫌い
頭のリボンは初任務で助けた少女から貰った物。女の子慣れしていないのはヤマネコに女子がほぼ居なかったから。ヤマネコにいた頃は剣ではなく鉄パイプを使っていた。

【ガリュウ(八番隊)「弱くも 優しい人」】
ふたりのことは:好き
元冒険者なので任務を「くえすと」と言ったり、緊急事態のことを「いべんと」と言ったり、特殊な言い回しがある。実は兜と盾も持っている。鎧の胸元についている小さな傷はラディカによってつけられた。



 ジャンニが起きて最初にすることは、ベッド脇の出窓に肘をつき祈ることだ。別に父と子と精霊の御名においてはいないのだが、十字を切って手も組む。「天にまします我らが父よ」から、「アーメン」までもしっかり言う。
 どうせ神を信用していないのだからと、この全てをやめ、今日一日気をつけたいことだけを唱えようと思ったこともあった。だが驚くべきことに、十字から始めてアーメンで終わらなければ、何の言葉も出て来なかったのだ。
 物心ついた頃からやっていた習慣とは恐ろしいもので、その他にも、食事の前の主の祈りと寝る前の祈りも、不服ながらちゃんとやっている。
 そして近頃、神に対する考えが少し変わって来てもいる。

 神は何もしない。だが、だからこそ、何もしない人間でも受け入れてくれるのではないだろうか。
 最近そんな風に思うようになって来た。
 自分が神に対して持つ気持ちと、皆が親に対して持つ気持ちは、きっと似ているのではないだろうか。どんなに恨んでも、結局心底嫌いにはなれないのが悔しい。

 昨日週一の診察に行って来たので、今日はかなり体が軽い。
 体がちょっとおかしいぞと思い出してからジャンニの主治医はずっとハズキだが、最初はビタミン剤のようなものを毎日注射していたのがいつの間にか薬が開発されており、3日に一回だったものが週一で良くなっている。さすがの開発力と言うしかない。
 診察の結果を見ながら、身体機能の向上と抑制や、炎症の抑制に関わる薬、それに栄養剤などを注射してくれているようだ。何本かある注射は割と量があるし痛いのは痛いので、そのうち飲み薬を開発してくれないかとちょっと期待している。

 そして一週間で徐々に効力は落ちてゆくので、診察前日の体調というのは振れ幅が大きい。謎熱や吐きそうなほどの怠さで動けない時もあれば、普通の生活だったら問題なく送れる時もある。
 一昨日はジョンとラディカとガリュウの3人組がお見舞いに来てくれたが、お見舞いのつもりで来てくれたにしては申し訳ないほど体調が良かった。
 何なら先日珍しく手に入った故郷の豆を自分で炒って砕きコーヒーをご馳走し、3人が帰った後に残りのコーヒーも作れてしまったくらいだ。気に入ってくれたようなので、次に会う時にまた渡そうと思う。この3人との街中での遭遇率は異様に高いので、多分すぐ渡せるだろう。

 今日は朝食が胃に入りそうだったので、そのコーヒーととうもろこしパンで朝食を済ますと、また寝室に戻った。

 ジャンニの家は食糧庫と居間とベッドルームだけなので、日曜礼拝を求められたら居間で無理やりやることになる。そしてベッドルームには、トレーニングのために少し大きめの姿鏡とサンドバッグが置いてあった。
 軽い柔軟が終わると鏡の前で構えを作る。フォームを確認しながら、鏡に映る自分の顎先にストレートを入れた。それからジャブとストレート、フック、アッパーと続け、肘打ちから膝蹴り、前蹴りからローキック、ミドルキック、ハイキックと一通りの動きを確認する。ちょっと体が温まって来ると、同じ流れをサンドバッグで繰り返した。
 アップやシャドウボクシングも挟むような強度のトレーニングはあまりできなくなってしまったが、できる時はこのルーティンの一部でも行うことにしている。
 ハイキックをするとサンドバッグが天井まで跳ねたので、そのまま空中で半回転し着地した。

 これなら今日は大丈夫そうだな。

 終わりの柔軟を行うと、サイドテーブルに置いていたロザリオを首にかけた。


 ヴァサラ軍を退職した後も、軍の仕事自体はしていた。週に何回かカウンセリングルームを開きに行くし、年に一度の規定になっている、隊員の心理チェックも行っている。前線で戦うことはもうないが後方支援で呼ばれることもあり、軍が手を出すほどでもない街での事件や問題なども、依頼されればこなしていた。
 その日仕事ができるかどうかは、朝のルーティンがどれだけこなせるかによる。自分の身ぐらいは自分で守れる状態でないと仕事はできない。

 暖炉の上に置いてある時計を見た。
 このくらいの時間なら、もう大丈夫かな。
会おうと思った時は必ず会えるあの男と鉢合わせるために、家を出た。


②七福

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