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#全力で推したいゲーム 花宵ロマネスク

このお題を見たとき、私にはこれしか無い、と思った。
10年以上愛しているゲームで、これをプレイするためにPS2を手放せないほどである。

花宵ロマネスクとは

「花宵ロマネスク」は、携帯ポータルサイト「girlswalker.com」において配信されていた恋愛アドベンチャーゲームの携帯ゲームコンテンツ。女性向けの恋愛シミュレーションゲームである。
配信の開始はおそらく2005年くらいからだと思われる。当時はまだガラケーの時代。月額300円の会員登録をすると毎月配信される話を数話読めるというもので、携帯で読める女性向けLSGの先駆けのような存在であった。

2006年からゲームの内容をそのまま音声にしたドラマCDが発売され、2010年までの間に計10作が発売された。
人気声優を起用した効果もあり、キャラクターソングや朗読CD、ラジオ、イベントなど、コンテンツの幅は多岐に広がり、2007年に小説化、2008年にPS2ゲーム『花宵ロマネスク 愛と哀しみ—それは君のためのアリア』発売へと至る。また、同じく2008年に携帯サイトにて『花宵ロマネスク2 王子様といばらの冠』の配信が始まる。

花宵との出会い

私の「花宵ロマネスク」、通称花宵との出会いは、今から約15年ほど前だったと思う。
当時高校生だった私は声優にハマっており、毎日何かしら声優がやっているネットラジオを聞いていた。そのうちのひとつが花宵のラジオだった。
鈴村健一さんがメインMCのこのラジオを聞くのが毎週楽しくて、ゲームがやりたくて、携帯サイトに登録したくてたまらなかったが、なんと高校時代の私は、携帯を親に解約されてしまい所持していなかったので、ゲームをプレイすることはできなかった。
高校3年の2月くらいからバイトを始めたので、自分で携帯の契約に行き、即トイズワーカーのサイトに有料登録。一日中携帯と睨めっこして最新話分まで一気にテキストを読んだことを覚えている。
後に発売されたPS2版のゲームは初回限定版を購入。ドラマCD、小説も全て揃えて今でも大切にしている。

あらすじ

ゲーム内容を簡単に説明する。
主人公(ヒロイン)は月華修学院という高校に赴任してきた新人国語教師。
月華修学院は宝生グループが経営している男子校で、宝生家やその分家のこどもが多く通っている。
ある日主人公は宝生家の当主である宝生蓮太郎に呼ばれ、「この5人の誰かと結婚してほしい」と告げられる。

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この5人というのが攻略キャラとなる。(綾芽、菫、ともゑ、葵、桔梗)
宝生家は代々「ロゴス」という言葉による呪いにかけられており、なぜか主人公はこのロゴスを感じ取り、呪縛を解き放つことができる能力を持っているという設定。
5人にかけられている呪いを見つけ、呪いを解きながら、好感度をあげていく、というストーリーである。
各キャラの闇や、宝生家周辺のお家騒動がとにかくややこしく、暗く、泥々しており、乙女向けと言うには問題があるような感じがする作品だが、当時18歳くらいの私は甘いだけのLSGには飽き飽きしており、このほの暗い感じと、シナリオの深みが好きでどっぷりとのめり込んだ。

キャラクターについて

花宵のキャラクターはひとりひとり闇を抱えており、呪いを解いてくれるヒロインに次第に心を開いて行くこととなる。

【宝生綾芽】CV緑川光
宝生家長女(椿)の息子であり、次期当主。月華修学院に通う高校2年生。
母(椿)が祖父(藤一郎)に気に入られていたため女性後継者となるが、綾芽の目の前で自死。綾芽と共に心中を計ろうとしていた。現場を見た妹(静音)はトラウマを抱え、綾芽を目にするだけで発狂してしまうため、妹には会えない生活。
父は祖父でもある藤一郎。藤一郎と椿、実の親子による近親相姦によって生まれた子どもである。
とにかく生い立ちが不憫すぎるにも関わらず、女性後継者の息子であることから、継承権を持つことを親族には快く思われていない。
誰にも心を開かない孤高の存在であり、幾度も自殺を試みる危うき存在。

【宝生菫】CV鈴村健一
宝生家長男(紫陽)の息子であり第二継承者。月華修学院に通う高校2年生。
ともゑの双子の兄。両親は離婚しており、菫は父側の宝生姓、ともゑは母側の城崎姓となる。綾芽の妹・静音の婚約者であるが、綾芽との仲は険悪。
高校2年生らしく言葉は強いが、純粋で可愛らしい存在。ツンデレ。
ともゑと共依存状態。物語中盤でともゑの記憶を無くしたり、戻ったりする精神状態が危うき存在。
ヒロインが出会った当初は幼少期のともゑの記憶の一部を無くしていたが、ある事件をきっかけに全てを思い出す。

【城崎ともゑ】CV保志総一朗
月華修学院に通う高校2年生。菫の双子の兄。
可愛らしい見た目に、人懐っこい性格で、ヒロインである先生も〇〇ちゃん呼び。
純粋かと思いきや、年上女性と援助交際をしており、お金目的ではなく、寂しいからという理由で数々の女性と逢瀬を重ねている。
母(優子)が叔父(葵)と不倫していることに気付いている。母は女を捨てることができず叔父と不倫、父は離婚し失踪中、双子の兄には忘れられてしまうという可哀相な存在。
ニコニコしている笑顔の裏に寂しさと狂気を隠し持つ危うき存在。ヤンデレ。

【宝生葵】CV遊佐浩二
宝生家次男。月華修学院の理事。29歳。
いつも理事の仕事をしているのか、というくらい桔梗に怒られ、煙草を吸いながら書類をチェックしている。校内の父母(宝生の分家)からは反発もあるが宝生家の後ろ盾に守られている。
21歳の時から兄嫁であり、菫とともゑの母でもある優子と不倫関係を持ち、それがきっかけで兄の紫陽を殺そうとした過去を持つ。
最初は優子を愛していたが、優子は葵に甘えはするものの本心から愛しているのは兄である紫陽であり、報われない数年間を過ごす。愛は無いものの、優子の誘いを拒むことができずズルズルと関係が続いている。
「兄貴がいる隣の部屋で声を押し殺してヤったこともある。」などとヒロインに言う乙女ゲームにあるまじきキャラであるが、私の生涯の推しである。
浮ついてて、チャラくて、軽くて、軽薄な印象。ロゴスを解放されることを拒み、ロゴスに呪われて死んでいくことを受け入れている。
兄への愛憎に縛られている愛に飢えた危うき存在。

【宝生桔梗】CV諏訪部順一
月華修学院の国語教師。宝生家三男だが、紫陽・葵とは腹違いの兄弟である。
基本的に誰にでも優しくおおらかな雰囲気とは裏腹に、15歳の若さで桔梗を産み、宝生本家からの精神的重圧に耐えきれず亡くなった母・万梨子の復讐を誓い、宝生家のライバルである橘グループの権力者と結託する。
優しくヒロインをフォローしてくれる頼れる先輩、かと思いきや内部から宝生家を潰そうとしているスパイ。
生い立ちが不憫であるため、自己肯定感が低く、自分のことを「穢れた血」と言う。沈着冷静で、美しい敬語と優しく真面目な性格の裏に隠された腹黒さが危うき存在。

以上が攻略キャラクターの5人。
お気付きの通り、危うき存在ばかり(笑)

宝生家長男である紫陽(CV平田広明)は、物語をかなり動かしていく主人公たちの敵的存在。頭がブっ飛んでおり、息子や分家の力を使って宝生家を乗っ取ろうと画策している。息子である双子や、弟である葵に対しても家族愛は一切感じられず、自分の思い通りになる駒と思っている様子。

そして宝生家の父 藤一郎(CV大川透)。そもそも5人の闇は宝生家に代々続くロゴスの呪いというより、全部藤一郎の蒔いた種なんじゃないの!?とプレイヤー全員が思ったはず。
とにかく節操が無い。なさ過ぎる。娘(椿)に手を出し、15歳の少女(万梨子)に手を出し、息子の嫁(優子)にも手を出そうとし、10歳くらいの綾芽の妹(静音)にも手を出そうとする。どんだけ節操無いんだこのオヤジ・・・。
この人が良識があって、ちゃんと子どもに愛情を注いでいれば、5人は幸せに生活できたはず。

宝生葵は生涯の推し

葵の詳細にも書いた通り、私の推しは18歳当時から30歳の今でも変わらず宝生葵、一筋。
チャラくて、軽薄で、兄嫁と不倫しているようなキャラだが、この軽さにヒロインと一緒に救われることがある。
セクシーで色気があることを自分自身分かってるので、セクシャルな冗談を言ってくるところも好きだし、そうすることで思い悩んでいるヒロインの気持ちを軽くしてやろうと考えてくれている。
この葵なりの励まし方がとても好きで、共通ストーリーである「葵とプチ同棲」の話が好きでたまらない。
葵も桔梗も学院から居なくなり、頼れる存在がいなくなって落ち込むヒロイン。暗い気持ちで家に帰るとそこには葵がおり、数日間葵がヒロインの家に泊まる、という話。
何も言わずに傍にいてくれて、髪を乾かしてくれて、眠るとき手を繋いでくれて、でも決して手は出さない、という現実ではありえないかもしれないこの優しさ!(笑)「頑張れよ。」という一言で、翌朝ヒロインは元気な姿で学院へと行くのである。この甘々な1シーンが、葵ルートではなく共通話だと!?と当時は驚きを隠せなかった。

葵の軽さに、他の家族たちも救われているし、いざとなるとき頼りになる大人がこの作品のなかには葵しかいないので、弟も甥も葵を頼りにしている描写がある。
勿論ヒロインも頼っているし、一方葵はヒロインを頼りにし、甘える。
このふたりの大人がお互いに支え合い、大人として、先生として、生徒と向き合って行く姿がとても好きだ。私は、私を好きな葵ではなく、ヒロインである桐原珠美を好きな葵が好きなのである。

困ってたらフォローしてくれて、悩んでいたらそっと道を照らしてくれて。
幾度も珠美は葵に救われるのだけど、一方葵もまた、珠美にロゴスの呪いからの解放という意味だけでなく、精神的にとても救われている。
優子との関係を断ち切り、紫陽と向き合うことができたのは、珠美が居たから。その感謝や甘えを、軽くてチャラい言動で誤魔化すのは照れ隠しなのである。

私がオワコンなんかにさせない。

仕事で失敗したときなど、メンタルが落ちてるときに好きなアニメを見たり、好きな曲を聴いたりするのだが、「今日は花宵のドラマCD聞こう。」という日はかなりメンタルが落ちてるときだな、と自分自身の指標になっている。よほどやばいときはPS2を起動してしまう。
ドラマCDは葵の台詞があるトラックだけを集めた葵プレイリストを作っており、PS2は葵のイベントが始まる直前で全てセーブしているので、セーブスロットがもはや狂気の沙汰の光景である。
先日久しぶりにPS2を起動したところ、ディスクを読み込む部分から異音が発生しており、いつ壊れるかヒヤヒヤしている。PS2版の方が勿論ドラマCDよりも台詞量が多いのでこれだけは手放せない。

花宵ロマネスクは、私の精神安定剤。

ガラケーで遊ぶことができた花宵はスマホでは遊べず、すでに公式サイトも存在していない。いわゆるオワコンと呼べる状態であるが、私の中ではこの先も変わらずずっと大好きなコンテンツである。
「コンテンツが終わるのは人々の記憶から消えた時ですよ。」とフォロワーから言われたので、私がいる限り花宵がオワコンになることは無い。

願うことなら携帯サイトでしか配信の無かった花宵ロマネスク2のテキストをもう一度読みたい・・・。

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