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フィールズ・グッド・マン感想(未完)

 先週の土曜日、渋谷のユーロスペースで「フィールズ・グッド・マン」のトークショー付き回を鑑賞してきた。

 カエル好きのマット・フューリー氏が生み出したお気楽弟ポジなカエルのペペがいかにしてインターネット・ミームに「祭り上げ」られ人種差別のヘイトシンボルと化してしまったかを印象的なアニメーション交じりで巡るドキュメンタリーだ。

 トークショーで制作陣が「ぺぺはあまり日本では知られていない」と言ったとおり、私も映画を観る前日にBuzzFeed Japanの記事で知ったぐらいだ。それでも記事を読む限り非常に興味深いテーマだと思ったし、トークショー回のチケットが残っているなら是非ともそれ込みで観たいと思い鑑賞の運びとなった。

 当日は生憎の雨だったが、中央のよい席が取れ、ネットワーク会議を利用したトークショー(鑑賞者からの質問はGoogle フォームでの受け付けだった)では最初に自分の質問が採用され、可愛いワンちゃんもスクリーンに乱入し、非常に充実した鑑賞体験を味わった。パンフレットとぺぺのメモも買った。

(ちなみに公式でメモ付き鑑賞券がまだ販売中っぽいので、まだ映画未公開の地域の方は買っておくとソコソコお得だと思う)

 肝心の内容の方は期待通り多くの学びと気付きを得られるものだったが、敢えて絞るとすれば「古のオタク、特にねらーなら高確率で感じる既視感」だ。

反発する「ねらー」たち

 4chanで爆発的な人気を得たペペはやがてインフルエンサーに目を付けられ、ぺぺの扮装をする動画の流行に4ちゃんねらー(個人的にはこの表記に凄まじい違和感があるが、映画公式サイトでこう表記されているので従う)らは反発する。後にフューリー氏の動きに対してもぺぺを独占するのかといった反発があったことも作中でちらっと取り上げられている。

 さて、2ちゃんねるにおけるミームは「コピペ」であると映画パンフレットには書かれている。その中で更にぺぺに近いミームを探すならば、モナーやギコ猫をはじめとしたAA(アスキーアート)だろう。

 Flash動画の全盛期は登場人物としてAAが採用されるのは普通だったし、今でも動画の一大ジャンルである「ゆっくり○○」のおまんじゅう達も元を正せばAAだ。

 そして古の2ちゃんねらーであった自分は「ギコ猫騒動」「のまネコ騒動」――企業がインターネット上の人気キャラを商標登録という手段で独り占めしようとして大炎上した事件――を思い出さずにはいられない。

 もちろんぺぺのケースとAA炎上のケースは全く違う。AAのケースは権利者不明のキャラクターが商標登録という楔によって自由に使用できなくなる可能性があったからだ。

 しかしぺぺの場合はインフルエンサーが4ちゃんねらー達に対して何らかの圧力を加えた訳ではないし、フューリー氏に至ってはぺぺの真の権利者である。

 ただ、「匿名掲示板上で広く愛されていたキャラクターを連れ去られることへの反発」という点では共通している。

 この辺が肌感覚で解ってしまった自分は最早単純にフューリー氏を応援するだけの鑑賞者でいられることができず、時折居心地の悪さを感じずにはいられなかった。

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