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レベレーション-啓示-

ジャンヌ・ダルクの生涯を描いたコミック、
「レベレーション-啓示-」
が完結、読了しました。

これまでジャンヌ・ダルクのことは、
おおまかな流れしか知りませんでした。

神の声を聞いて、
シャルル7世をフランス王に即位させたのに
のちに魔女として火炙りにされてしまった
聖女、という本当におおまかな。

興味がないとまではいわないけれど、
なんだかそんなにだったのです。

興味をもちそうな要素は揃っているだけに、
自分でも不思議なのですが。

映画もありましたけど、
いつものコレ⬇️のおかげで、

パッとつけたらまさに
ミラ・ジョボヴィッチが
ボーボー燃やされてるところを見てしまい、
そっと消したのを覚えています。


なので、ジャンヌ・ダルクというより、
山岸涼子が描いてるからで買いました。

完結して
最初から最後まで通して読むことが
できたので、やっと全体の流れが
わかりました。

年1回の刊行だったから、
次の巻まで1年間があくと、前までのことを
忘れちゃうので正直ちょっと読みにくかった。

こちらは「日出処の天子」と違い、
史実をベースにしたフィクションではなく、
史実に忠実に描かれているようです。

※ここからの感想はネタバレを含みます。


面白かったんだけど、
なんかこう、
いまいち入り込めきれなかった感が
残りました。

ジャンヌに感情移入もしにくかった。

信仰心が凄すぎて、
そこからくる人間性も凄すぎて、
なんだかほとんどずっと
人間離れした人だったので。

最終巻の異端審問のあたりで、
火刑や死ぬことが怖いと思ったり、
神の存在が揺らぎ始めるあたりでやっと
身近に感じられました。

キリスト教の“殉教”がどうしても
いまいち理解できないこともあります。

どうして神に愛されて選ばれた者が
罪もなくむごい殺され方をすることを、
この神はいつも見過ごすのか。

それを良しとするのか。

どうしてそれを、死にゆく者は
納得して受け入れられるのか。

どうしてもわからない。

ジャンヌがイギリスに囚われた時に
久しぶりに聞こえた声が、
「汝は解放される」
であり、
ジャンヌはそのまま
「(囚われの身から)解放される」
という意味だととり、
それを支えにつらい日々をなんとか
生きていたのに、火刑が決定してしまう。

ここではじめて取り乱し荒れるジャンヌ。
そりゃそうなります。

しかし、若き神学者モーリスから、
“解放される”にはもうひとつの意味が
あることを知らされます。

それは、

肉体からの魂の“解放”
つまり“死”を意味するのだと。

それを聞いてジャンヌは、

「納得しました!
これですべてが腑に落ちました」

と泣き崩れ、
死にゆくことを受け入れます。


正直、

「えっ腑に落ちちゃうのかよ!?」

と思ったし、今も思っています。

ジャンヌは、
迷いなく清々しくさえありながら
壮絶に死んでいきましたが、

やっぱりむごいし悲しいしで、
モヤモヤしたままなのが、
今の正直な全体の感想です。


細かい部分では、
史実に忠実な展開だったので、
オリジナリティが出しにくかっただろう中で、
神がかり的な部分の描かれ方が
絶妙だったと思います。

面識のないシャルル7世を群衆の中から
見つけだすことも、
イギリスにトントン拍子に連勝することも、
天の配剤としか思えないような
不思議な小さなきっかけや偶然を
チョロッと入れながら、
ジャンヌ自身の地頭の良さや冷静な観察眼に
おおいに拠っているような絶妙なバランス
なので、奇跡の数々が
自然に納得できるのです。

また、
最初にジャンヌが視た“幻視”というか、
天使の現れ方がなんかすごくリアルなんです。

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なんと“目”だけ

いかにも天使っていう
わかりやすくありがたいものが
神々しく現れるのではなく、

パッと見て
いいものかわるいものかもわからない、
なんだかわからない
“こわい”ようなもの。
畏怖を感じるものとして描かれているのが
すごくおもしろいなと思いました。


忘れたころに
また読んでみようと思います。

その時また、
どんなことを発見し
感じるのかを楽しみに😌

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レベレーション-啓示- / 山岸 涼子
講談社 モーニングKC 全6巻

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