読書:データ・ドリブン・マーケティング その2(何から始める?)
第2章 何から始めるべきか?
データ・ドリブン・マーケティングをやりたい企業は多いけど。
先ずは何から始めるべきか。
最初は小さいところから、成果の出るところから
成果が出るところからはじめる
最初から100%のデータを集めるのではなく、重要性の高いデータに集中する。8割の成果をもたらしそうな2割のデータを見極める。
小さく始める
今までのやり方、社内プロセスを変えるのは大変。
急にすべてのやり方を変えるのではなく、テストケースから始めて、成果を積み上げていく。
対照実験を活用する
重要なデータを絞り込み、実施する段階になったら、対照実験を行う。
マーケティング施策を行ったグループとコントロールグループで結果を比較して、効果を確かめる。
因果関係を検証する
マーケティング、キャンペーンをやりっぱなしにしない。
小規模な対照実験を行い、因果関係を明らかにしておく。
対照実験とは
例えば、カジノ企業のマーケティング・オファーで従来のオファーグループとテストマーケティングオファーグループを作る。
オファー後のカジノ利用を各グループごとに効果測定し、どのオファー内容がどのくらい効果があるかを定量的に測定する。
適切な物差しを使う
例えば、ROIは比較的短期間で効果が見える需要喚起型マーケティングの指標としては有効だが、すぐに購買行動に結びつくわけではないブランディングのような活動には適さない。各マーケティング活動に対して、測定可能なマーケティング指標を使わなければ意味がない。
データ不足をどう乗り越えるか
B2B企業では、データ不足になることもしばしば。
・販売パートナーとデータ共有
共同マーケティングを行うといった、データ共有することのメリットを伝える。
顧客データは、分析に必要な購買行動などに絞り匿名化処理をしたものでもOK。
・フリークエント・ドリンカー・プログラム
飲料メーカーなどは商品を間接的に販売するため、最終消費者の情報をほとんど持ちえない。
消費者に、ノベルティや割引といった価値を提供する代わりに個人情報を提供してもらうことはできる。
・調査結果を顧客データの代用として使用する
グループインタビューや定量調査結果を用いてセグメンテーションやターゲティングを行う。オンラインインタビューも有効だが、回答者がインターネットのヘビーユーザーに偏ってしまうことに注意が必要。
顧客データ収集において大事なこと
プライバシーポリシーを明文化し社内外に説明をする。
常に意識することは、
顧客との交流やコミュニケーションを通じて、新たな価値を生み出すことであり、情報を得ることで、顧客の弱みにつけこむことがあってはならない。
「私にとって何のメリットがあるのか?」という顧客の疑問に、顧客視点で答えられること
インフラを構築する
99%の価値を生むために必要な1%の作業は、マーケティングに対して適切な測定指標を見極め、データを収集する方法を決めておくこと。
顧客数や企業と顧客の接点の多さに影響されるデータサイズとデータで何をしたいかで、必要なインフラが決まる。
データサイズ
数千件単位の顧客データセットからいくつかの軸でセグメンテーション・・・といった内容であればノートパソコンとエクセル、5000万件の顧客データから複数の軸でセグメンテーション・・・といった内容であれば高性能データウェアハウス。
データで何をしたいか
今までやっていたことをより効果的に、より安く、より洗練されたやり方でやるためにはどのようなインフラが必要かを考える。
例えば、自動車ショップで来店した顧客の購入を促したい場合。
オペレーショナルCRMシステムがナンバープレート情報からデータを照合し、顧客に話しかける内容を作成し、販売員に指示を出す。
これを行うために必要なインフラを整える。
IT部門任せにしない
使えるインフラにするために。システム構築が途中で崩壊しないために。
マーケティング部門はIT部門に、データを使って何がしたいかを説明できなければならない。データ・ドリブン・マーケティングを支える技術の知識を備えておかなければならない。
データ・ドリブン・マーケティングを企業文化に埋め込む
新しいものを企業文化に取り入れるのは意外と大変。
先ずは、データを活用したいと思っている仲間を見つけ、小さな成果を積み重ねていくこと。
最終的には経営陣の賛同を得なければいけない。そのためのプロセスをないがしろにしてはならない。
動機付けのためにマーケティングの測定結果を組織内で公開するのも有効。
社員にデータ・ドリブン・マーケティングの知識を身に着けさせる。
データ・ドリブン・マーケティングに関心がある経営陣を見つけ、アイディアを浸透させる。
データ・ドリブン・マーケティングの改善・実行ロードマップ
①設計(データ・ドリブン・マーケティングで何をしたいのか)
目的、戦略との整合、対象範囲、カテゴリー、測定指標、仮説
→関係者が理解しやすい明解な実行計画
②診断(現在評価をもう一段階深堀、不足はないか)
バランス、リスク、リターン
→適切な意思決定に必要な事実把握や洞察
③機会
初期の成功事例、緊急事態、調整
→調査・分析して分かったことに基づくマーケティング機会の特定とアクション・プラン
④ツール
測定指標、計算式、予測モデル、テンプレート、ダッシュボード
→定期的なレビューを行う組織能力の構築
⑤プロセス
週ごと、月ごと、四半期ごと、年度ごと
→定期的なレビュー結果に基づく意思決定
書籍は、
Data-Driven Marketing
Mark Jeffery 著
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