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なぜ俺たちのシャドウバースはビヨンドするのか。その1

Shadowverseが終わる。
数多の想い出もやがて消える。時が来れば、雨の中の涙のように……。
その時が来た。

12月10日 、ShadowverseはShadowverse: Worlds Beyond(以下シャドバWB)に移行することが発表されました。

増え続けるカードプール、複雑なゲーム性、止まらないインフレ
現状のシャドバのゲーム性は煮詰まってきており、たしかに刷新は必要だったでしょう。しかしなぜ大型アップデートではなく、メタバース要素まで加えた新アプリ開発に至ったのか。

我々の愛するシャドウバースについて、これまでの歴史、数字を踏まえながら考察し、今後の未来を占っていきます。

シャドバに求められる役割とは?

そもそも、Cygames(以下サイゲ)とってシャドバとはどんな立ち位置だったのでしょう?
サイゲは様々なタイトルを運営していますが、顧客層が被らないような差別化がなされています。
例えばグランブルーファンタジーは女性層も視野に入れていますが、プリンセスコネクト!Re:Diveは男性層に特化したタイトルです。

ジャンルはさまざま


ではシャドバのターゲット層は何かというと、それは「e-sports」だったと言えます。
実際e-sportsの盛り上がりを見せた2018年5月にプロリーグが始まり、2019年にシャドバは「本格スマホe-sports」を名乗ります。
ここに至るには当然、DCGとして先行したハースストーンの成功が大きいです。ご存知のとおりシャドバはハースストーンの影響を大きく受けており、ハースストーンをカジュアルに日本風に落とし込むことで確固たる地位を確立しました。

DCGの先駆者

しかしe-sportsという新市場が当時思い描いた成長を成し遂げたとはいえません。
e-sports関連企業が十分な収益を上げているとはいえず、ハースストーンにおいても賞金額の大幅な引き下げが発表されていることから、投資効果が疑問視されているといえます。

では、シャドバのe-sportsへのチャレンジは成功したと言えるのか?
客観的な数字から判断しましょう。
過去の決算資料にはサイゲの各タイトル別の売上がまとめられています。

2020年のサイバーエージェントの決算資料

具体的な数字は不明ですが、グラフ面積から察するにおおよそ売上ピークは2017年の100億円前後であり、そこから徐々に下降しています。(なお、最近はタイトル別の売上が決算に表れないため不明です。)
ピーク時を比較しても他タイトルと比較して売上が低いことは明確ですが、これはシャドバがよく言われる「無課金でも遊べる」ゲームだからでしょう。
おそらくですが、初期構想では課金圧を減らす代わりにユーザー数を増やし、e-sportsとして人気を確立することでキャッシュを生み出す予定だったのではないでしょうか。
しかし現在のところ、e-sportsをビジネスとして成立させることは困難といえます。2022年における国内のe-sportsの市場規模は約100億円です。同規模の市場を調べてみても、スケール感として物足りないことが分かります。
サッカーや野球は大規模な集客・放映権・スポンサー収入などでキャッシュを獲得していますが、現状のe-sportsでそれは厳しく、しばらくは発展途上が続くでしょう。
※こう言うと私がシャドバのe-sports要素を嫌ってるようですが、RAGEやプロツアーは毎回観るくらいには好きです。本稿は面白さ云々はさて置いて、客観的な数字を根拠に考察します。

いかがでしょうか

また、スマホゲームという事業領域自体の変化も忘れてはいけません。Cygamesはスマホゲームという領域に早期参入にし、美麗なイラストや3Dモデルを駆使した魅力的なキャラクターを発信し続けることで、業界内で確固たる地位を築きました。
しかし近年のスマホゲームはレベルの向上が凄まじく、「原神」をはじめとした中国の高クオリティなタイトルがスタンダードになりつつあります。これらの強力な後続に対して、これまでの延長線上で戦えるのか?
答えは否であり、新しい遊び方を提示する時期が来ていた、といえます。

ですので、今回のシャドバWBへの移行は、そもそもシャドバの人気が落ちたという以前に、スマホゲーム・e-sportsに関わる事業環境がリリース当時と大きく変化し、現行の運営とは異なる方向性を模索する必要があったというマクロな理由を考えています。

e-sports偏重気味だったリソースを再配分し、収益構造を見直すことで、今後10年戦える基盤を整える。
これこそがシャドバWBの狙いではないでしょうか。

今回はここまで。次回へ続きます。

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