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【潮崎藤田戦】プロレスリングノア動画【DDTuniverse】おすすめ番外編

前回のおすすめは動画はこちら

さて、今回はあえて「おすすめ動画4」ではなく番外編として紹介したいと思います。

そうです。プロレスファンならもうおわかりでしょう。3.29潮崎藤田のカードです。※動画自体は第一試合からの閲覧になります。

新型コロナウイルスの影響で延期に次ぐ延期となったこのカード。古参のファンからすると「馬場猪木の遺伝子を受け継ぐ者同士の対戦」「総合格闘家と純プロレスラーとの対戦」など様々な視点で感情移入することができました。また新規のファンも「怪物的に強いノアを暴れまわる藤田を王者潮崎がどう迎え撃つか」という視点で感情移入できた人も多かったでしょう。

結論から言えばこのカードはファンの想像すべてを超えていきました。「ヨーイドンの短期決戦」「それなりに藤田が潮崎に付き合う展開」「藤田が懐に忍ばせたナイフを突き立てる」「フルタイムドロー」おおよそ考えれれる展開をすべて避け(視点を変えればすべてを込めて)30分超の視殺戦からの劇的な試合終了直前の潮崎の大勝利。この展開を予想できた人は本物の予知能力者でしょう。

この試合が年間ベストバウトに輝くことは無いでしょう。しかし年間インパクトバウトという部門があれば間違いなく受賞する試合でした。「おすすめ」ではなく「番外編」と書いたのはそうした部分と、30分の視殺戦を事前情報として知った上で観戦すると、面白さが中々伝わらないからです。

プロレスの試合は面白いもので、予め結末を知っていても楽しめるケースが多いです。またそうした「結末を知らなくても楽しめる試合」が良い試合と評されることがあります。わかりやすく言えば三沢小橋がそうした試合ですかね。1.4の清宮潮崎もこの系統だと思います。

しかしこの試合については全くの真逆。LIVE観戦しなければ面白さが理解しづらいという印象です。系統としては三沢川田に近いと私は感じました。もう少しいうと「お互いの素の感情が爆破した試合」でしょうか。

静寂の30分を終えると、藤田は得意のグラウンドで潮崎を圧倒します。無観客試合なので藤田の潮崎に対する罵声もよく通りました。言い方は悪いですが潮崎を完全に子ども扱いしてたといえるでしょう。さらに後楽園ホール全体を使った場外戦。藤田の「お前なんていつでも簡単に倒せるんだよ!」といった強烈なプライドが試合の節々から感じられました。

一方の潮崎はひたすら藤田に痛めつけられました。いくら攻撃を受けても立ち上がります。グラウンドで圧倒されようが、場外戦でこてんぱんにされようが、パワーボムの後にサッカーボールキックを浴びようが。潮崎はひたすら耐えて藤田を睨みつけます。「俺は絶対に負けないぞ」という不屈の闘志を試合中見せつけていました。

そうしたお互いの情念(勝利への執着心)が試合を充満させました。お互いが「これの技を出すのか!」「そしたら俺はこの技だ」というある種のスポーツライクなやり取りではなく、「この技で相手を潰して勝つ」という強い勝利への意思が感じられる試合。技を超えた感情の試合。私はそう感じたので、この試合を三沢川田的な試合だと思いました。

現代プロレスは三沢小橋的な試合こそベストマッチであり、趣向は変われど方向的には多くの試合がそちらの方向を目指しています。そうした価値観に真っ向から異を唱えた問題作とも言える潮崎藤田戦。そして清宮戦で三沢小橋ラインのベストマッチをしたかと思えば、藤田戦で三沢川田的価値観の試合をするという潮崎豪の凄まじい懐の深さ。動画だと伝わりずらい可能性はありますが、ぜひ未視聴の方はご観戦ください。

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