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8.1広島決戦 HAYATA対YO-HEY〜過去を超えろ!

トップ画像は@shun064さんの作品です(2枚の絵を合わせています)。

プロレスリングノアの8.1広島大会

メインの丸藤正道対桜庭和志のGHCヘビー級の試合も気になるところだが、私がイチオシなのはセミファイナルのGHCジュニアヘビー級選手権試合であるHAYATA対YO-HEYだ。7.27クラブチッタ川崎の試合からもわかるように、ノアジュニアの陣容は今まさに全盛期を迎えつつある。

2021年7月28日時点で、ノアのジュニアヘビー級は「スティンガー」「正規軍」「PERROS DEL MAL DE JAPON」「金剛」と4つのユニットによって抗争を繰り広げられている。敢えて日付を書いたのは、この記事が万が一数カ月後に読まれる可能性を踏まえているからだ。現時点でこそ「このメンバーで」「4軍抗争」という図式だが、数ヶ月先のことはわからない。実際一年前と今ではユニット構成がガラッと変化している。

そうした「ユニットの変化」が成立するのも、今のノアジュニアには様々な個性の選手が所属しているからである。テクニシャン、パワーファイター、体の強さ、ハイフライヤー、万能型。これらの選手が目まぐるしく立ち位置を変えて、良い意味でファンを飽きさせない状態を続けている。「話題性」と「試合の質」を程よいバランスでミックスしているのである。こうした部分を見ると「今こそがノアジュニアの全盛期」と言っても過言ではない。

一般的にノアジュニアの全盛期といえば丸藤正道、KENTA、金丸義信、杉浦貴らが覇権を競い、そこにベテランの菊地毅や新人の鈴木鼓太郎が混ざった00年代前半のイメージが強いだろう。特に丸藤対KENTAの試合内容は圧巻で、あの三沢光晴をして「俺にはできない」といわしめたモノだった。いわゆる四天王プロレス的なモノから更にアクセルを踏む。横の動きをスピードで。縦の動きを空中殺法で幅を広げた両者の試合。ジュニアヘビーで日本武道館の満員の観客をメインで締めるなど、当時で言えばかなりの革新的な流れを作っていた。歴史的に見ても丸藤対KENTAのフォーマットが、00年代後半から10年代のプロレスの潮流を作ったとも言える。「今のノアジュニアが全盛期だ」と言うためにはこの「丸藤対KENTA」を超えねばならない。その役目を託されたのがHAYATAとYO-HEYである。

元々空中殺法で高さとハイテンポを武器にしていたHAYATA。HAYATAはそこにアクセルを踏むだけでなく、インサイドワークや切り返しといったスローダウンの技術を身につけた。緩急自在に相手をコントロールできる術をもち、いよいよ全盛期を迎えつつある。

一方のYO-HEY。天性の明るさを持つゆえにどこでも活きるという長所が、悪く言えば便利屋的に扱われることもあった。しかしPERROS DEL MAL DE JAPON加入後、明るさに良い意味の嫌らしさとシリアスさが加わり、大きな変化をみせている。元々試合自体もハイフライヤーと思わせつつ、その根本はインサイドワークと一瞬の切り返しに長けた選手である。今の怪しげな表情にそうした「何をしてくるかわからない」という展開がとても合致している。

かつてノアはヘビー級で「小橋建太」という幻想を超えることに苦慮した。その幻想を打ち破ったのが潮崎豪である。潮崎豪は小橋建太の匂いを残しつつ、それをさらにバージョンアップして過去を超えた。いわばより深く深化した。今回のHAYATAとYO-HEYは丸藤やKENTAとはタイプが異なる。つまり別方向の進歩、進化によって過去を越えようとしている。

私のようなオールドファンは時として過去を美化し、現代の進歩を受け入れられないことがある。しかし本当は「偉大な過去を乗り越える姿」を期待しているのだ。その意味では8.1広島のHAYATA対YO-HEYはそうした「進化の可能性」を期待させてくれるカードだと言える。

こちらのファンソングとも言うべき歌も是非ご視聴下さい!


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