藤田和之GHC戴冠〜ノアは本気のリングだ!

2.23名古屋で行われたプロレスリングノアの試合。


この日のメインイベントはGHCヘビーをかけての王者中嶋勝彦と挑戦者藤田和之の激突。前哨戦では強烈なビーストボムからの顔面蹴りで中嶋を下して勢いに乗る藤田。一方の中嶋も調印式で藤田に頭からビールを浴びせるなど、試合前からヒートアップしていた。


試合自体はグラウンドを巡る攻防からの静かな始まり。両者腕に覚えのある同士だけに簡単に好ポジションをとるには至らず。そんななかスタンドに移行した瞬間に中嶋が放ったハイキックで試合は一気に動き出す。一旦場外戦を挟んだグラウンドの勝負では監獄固めで上をとった藤田が中嶋へ張り手の連打を放つ。中嶋もこの応酬に応え張り手を打ち合うと、その後藤田の巨大をバックドロップで投げきる。中嶋はラッシュ得意のキックからラッシュを仕掛けてヴァーティカルスパイクを狙うが藤田はこれを返してビーストボム。さらにフォールにいかずに顔面蹴りを放ち、最後はこの日2発目のビーストボムで中嶋をフォール。これにより藤田は中嶋から3カウントを奪い、見事GHCヘビー級王座を奪取した。

そしてリングには田中将斗が上がり、中嶋の如く藤田の頭からビールを浴びせて次期挑戦者に名乗りを挙げた。

試合後バックステージでインタビューに答えた藤田。彼はノアのリングについて「ノアは本気を味わう場所だと確信した」「本気の舞台で本気で戦うことは凄く幸せなこと」と語った。

流暢な言葉ではない。すぐにでた言葉ではない。現代的な言葉のプロレスではない。ある意味不格好なインタビューだった。しかしだからこそ。藤田の素の感情が出たと私は考える。格闘技の才能の塊であった藤田もプロレスラーとしては苦しんだ時期が長かった。格闘技で培った技術やパワーを、プロレスに活かすことができないまま時間が経過した。しかし今はどうだろうか?ノアに参戦して以降「本気で戦うことに幸せを覚えた藤田」は潮崎豪、拳王、杉浦貴らとアクセル全開のファイトを見せてきた。そしてこの日の中嶋もそう。彼らは藤田から逃げずに正面から本気で向かい合ってきた。それによりプロレスラー藤田は全盛期を迎えている。

ノアとしては強い王者中嶋が敗れたことによりフラッグシップタイトルが外部に流出したことになる。だが「中嶋勝彦を下した藤田和之はノアのリングだからこそ、その強さを見せつけた」とも言える。タイトルこそ奪われたが団体としては誇るべき結果ではないだろうか?少なくとも王者藤田の言葉はノアへのリスペクトに満ちていた。

新王者誕生によってノアのリングは再び活性化する。次期挑戦者の田中将斗も外敵であり、彼が勝ってもノアへのベルト奪還とはならない。いよいよ完成形が見えてきた清宮海斗。最強の座と日本武道館メインへのこだわりを持つ拳王。そして泥にまみれながら再び頂点を目指す潮崎豪。魅力的な団体内の挑戦者も控えている。

激動は3月の福岡から4月の両国へ至るのか?はたまた7月の日本武道館までも至るのか?

プロレスリングノアから目が離せない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?