プロレスリング・ノア 8.5HAYATA対近藤修司〜大技の中に光る緻密な理論〜
トップ画像は@shun064さんの作品です。
プロレスリング・ノアの旗揚げ戦が行われた2000年8月5日。その日から22年後にDEPARTURE 2022と題して開催された2023年8月5日の後楽園ホール大会。丸藤正道復帰戦やN-1の前哨戦。稲村愛輝と岡田欣也のN-1出場者決定戦。様々な試合が行われたこの日のメインを締めたのはGHCジュニアヘビー級王者HAYATAの勝利でした。
HAYATAの相手は丸藤正道とのGHCジュニアヘビー級王座戦でプロレス大賞年間ベストバウトを受賞した経歴のある近藤修司。体格的にもジュニアヘビー級の枠を超えかねないパワーの持ち主です。様々なタイプの選手がいるノアジュニアですが、パワー型の選手は少なく、そうした意味でもHAYATAにとって難敵とも言える相手でした。
パワーの近藤とスピードのHAYATAの試合となれば派手な動きが主体となる。私は予測もしていました。実際の試合ではいわゆる見栄えのある技も出しつつも。場外での鉄柵を使いつつも。それらは全て両者がフィニッシュに繋げる首攻め。いわゆる一点集中攻撃という理論に沿った組み立ての展開が行われました。一点集中攻撃といえばグラウンドでの攻めというイメージが強いですが、彼らの場合はそうではなく。ドロップキックやDDT。場外での鉄柵攻撃等。観客が遠くから見てもわかりやすい形でそれをなしていました。
近藤はパワーファイターではありますが攻守の切り替えの早いドラゴンゲートで活躍する選手です。特に終盤ではハイテンポな切り替えでHAYATAに勝負を挑みます。へデックを狙ったHAYATAをそのまま抱え込みパワーボムでリングに叩きつけたシーンはまさに近藤の真骨頂でしょう。
しかしHAYATAはこの切り替えし合戦に負けません。クロスアーム式の403インパクトを近藤が切り替えしショートレンジラリアット。更に正調ラリアットを狙う近藤。HAYATAはその近藤の腕をとり、先程返されたクロスアーム式の403インパクトを炸裂させます。そして最後は渾身のへデックで近藤をリングに突き刺し。HAYATAは劇的な勝利を収めました。
近藤の土俵にしっかりと乗りそれでも屈せず跳ね返す。HAYATAのレスラーとしての完成度は防衛戦を重ねる毎に増しています。ノアの旗揚げ記念日というメモリアルデーでメインをHAYATAが務める。少し前では考えられないことですが、いまやそれが当たり前のこととして観客に受け入れられています。ここまで価値の上がったHAYATAというレスラー。彼がその先に見据えるのは一体なんなのか?いちファンとして彼の目指す先がとても楽しみです。
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