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6.17三冠戦〜暖かくて大切な場所で万人に未来を見せた安齊勇馬〜

さてさてさて。戴冠当初はコンディションに一抹の不安を抱えていた三冠王者永田裕志ですが、5.29後楽園ホール大会(前回の防衛戦)あたりからは明確にコンディションをあげてきました。特に「王者として堂々と相手の攻撃を受け切る」という部分。ある意味では最も全日ファンが望む部分。そこについて、ようやく永田がフィットしてきたという印象があります。

その永田に挑戦したのは安齊勇馬。彼はデビューからわずか9ヶ月ですが、団体内外の選手とも対戦経験を積み着実に成長を続けています。個人的には「良い選手なのはわかるけど挑戦は早いかな…」という気持ちではありました。

ですがこの試合の煽りVを見たら…。ぼくは「行け!安齊!」と言いたくなる心境になりましたね。「ぼくにとって全日本プロレスは…暖かくて大切な場所」。たった9ヶ月であっても。安齊にとって全日本プロレスという団体が大切にな場所になっている。そこが伝わったからこそ「行け!三冠取れ安齊!」とぼくは思いました。

試合は勢いで攻める安齊を永田が受け切るという流れ。経験値も技術も不足する安齊とすれば。己の爆発的を活かすこと。それが勝利に繋がる形に他なりません。実際安齊のジャンピングニーの高さ。ジャーマンスープレックスの速さ。そして失敗こそしたものの秘密兵器たるムーンサルトプレス。これは永田には無いモノです。安齊は手持ちの武器は少なくとも、少ない手札でとにかく押し切る形をとりました。

一方の永田。場外戦も含めて会場を大きく使う。重さのあるキック。さらに徹底した腕攻め。彼もまた「自分だからこそ持っている武器」で安齊に襲いかかります。特に打撃については、永田が安齊にしつこく打撃を放ち。それを安齊が永田を睨みつけて耐えるというシーンが多くありました。ベテランから攻撃を受けて。それに感情を込めて耐えた上で反撃する。その光景はある意味で若かりし頃に小橋健太(※建太ではない頃に)が見せたモノを彷彿とさせました。

年齢もキャリアも用いる技も。お互い全く異なるからこそ、両者の違いが観客にもはっきり伝わり。観客も感情を込めやすい好勝負になった。私はそう思います。自分のやれることを全て出しきり。不慣れな部分があれども前だけを見据えた安齊。彼はこの日間違いなく全日本プロレスの明るい未来を見せたと思います。そして彼のそうした姿を引き出したのは、間違いなく永田でした。相手の攻撃を全て受けきった上で。引き出しを空にさせた上で勝つ。相手の良さを引き出しつつ、最後は格の違いを見せる。この試合はシンプルに王者永田だからこその好勝負だと思います。

さて若干長期政権の雰囲気を醸し出しつつある永田ですが、彼に前に立ちはだかったのは青柳優馬です。宮原健斗とのコンビで外敵から世界タッグのベルトを奪還し。この日大田区では青柳亮生とライジングHAYATOの挑戦を退けた。その青柳優馬が狙うはやはり三冠ベルトでしょう。青柳はキャリアこそ浅いですが試合のコントロール能力はぴかいち。どんな相手でも試合ができる懐の深さは若手枠を超えています。そうした万能型青柳優馬に対して。今日のように全てを受け切る試合が永田にできるか?それとも別の永田として飲み込もうとするのか?全日本プロレスファンとしては三冠ベルトが戻らないことに不満がありつつも。一方で面白しい試合になりそうなので、ぜひ次の試合も期待したいです!




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