見出し画像

テレビと私

毎日見るテレビ番組は朝6時25分からのNHKテレビ体操の10分のみである。
日曜日にはその前後の短歌と俳句も見ているが民放番組はもう一年くらいはチャンネルを合わせていない気がする。
というか、いつの間にかテレビ番組を見るという習慣がなくなってしまった。

実家にいた頃を思うと、常にテレビがついていた記憶がある。
家に帰ったらまずテレビをつける、というくらいにテレビ中心であった。
夜のニュース、歌番組、バラエティ、2時間ドラマ。
深夜放送も親に隠れてこっそり見ていた。
何か見たいものがあるというわけでもないのに、何となくつけて何となく見てしまう。
そんな家庭だったから父は晩年もテレビと共に日常を過ごしていた。
昼下がりのバラエティ番組の再放送を流しながらうたた寝する父の横顔は今でも思い浮かべることができるくらい実家の風景だったのだ。

ラジオばかり聴いているのは聞き流せる、というのも一つあり音楽を流してくれるというのもあるだろう。
テレビを嫌いになったというわけでもないのだが、昨今のニュースは心に陰りを落とすものばかりであり何となくで見るには重すぎる。同じ件でもラジオの淡々と読み上げる声であったり新聞として活字で知る記事ならば受け入れられるのに、そこに画像や「誰か」の感想が入ると途端にしんどくなってしまうのだ。
歌番組もかつては見たいアーティストが沢山いたけれど、今ではテレビには出ないようなバンドやグループばかりを追っているからテレビよりもYou Tubeだったりして画面を見るのはスマホやパソコンの方が断然多くなってしまった。
そういうのもある気がする。

息子や娘が一人暮らしを始める時に「テレビが欲しい」と言い、そこそこ大きなそれをそれぞれの部屋に置いた。
遊びに行くと二人とも大体テレビを見ながら過ごしている。
一人で暮らすということは静かだから、テレビの賑やかさが必要なのかもしれない。
あるいは現実から少し離れた所へ行きたいのかもしれない。
まぁ単純に「相棒(ドラマ)」が好きだからなのかもしれないが。

自分自身は夫が遠征で留守の時にもラジオくらいしかつけていないけれど、それはネコと過ごしているからというのも大きい。
元々「寂しさ」をあまり感じない性質でもある。

……といったことを、しん、としたつるつるで真っ黒の大きなモニターを見ながらつらつらと考えていた。

サザエさんすらここにはいない。
そんな日曜日。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?