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映画監督 伊丹十三・考

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映画監督伊丹十三とは何者だったのか? 伊丹十三と伊丹映画を、13本の記事と4本のコラムをもとに再発見する特集です。
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#スーパーの女

令和五年の伊丹十三

 映画編集者、デザイナー、俳優、エッセイスト、ドキュメンタリスト、雑誌編集長、そして映画監督。  1933年、映画監督・伊丹万作の長男として生まれた伊丹十三は、新東宝の編集助手を皮切りに、商業デザイナーを経て27歳で大映東京に入社。伊丹一三名義で俳優業を開始し、所属した1年半ほどの間に増村保造、市川崑らの作品に出演。後にフランス映画社を取り仕切る川喜多和子との結婚もこの時期である。  大映退社後は、『北京の55日』などの海外大作から加藤泰、大島渚、若松孝二、東陽一といった監

伊丹映画の食・性・死

伊丹映画には、毎回きまって「食」にまつわる場面、「性」にまつわる場面、「死」にまつわる場面が登場する。伊丹映画印となるそれらのシーンを振り返ってみたい。 伊丹映画の「食」 『お葬式』の冒頭、生々しい質感で映し出されるアボカド、鰻、ロースハムのアップ。伊丹映画の「食」はここから始まった。  エッセイでも食へのこだわりを示してきた伊丹だけに、単なる食事風景は伊丹映画に存在しない。画面に登場する食物は俳優たちと同じ重量級の存在感を放つ。 『マルサの女』の食料品店のシーンは、ロケ