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映画監督 伊丹十三・考

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映画監督伊丹十三とは何者だったのか? 伊丹十三と伊丹映画を、13本の記事と4本のコラムをもとに再発見する特集です。
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#マルサの女をマルサする

映画監督 伊丹十三・考 目次

 1997年12月20日。  わずか3か月前に最新作『マルタイの女』が公開されたばかりの映画監督・伊丹十三が突然の死を遂げた。13年にわたる伊丹映画の唐突な終焉だった。  当時、テレビのゴールデンタイムで繰り返し放送されていた伊丹映画もやがて姿を消し、伊丹の名は急速に過去のものになるはずだった。  しかし、伊丹十三と伊丹映画は、過去の遺物とはなることなく、何かが起きるたびに、まるで予感の映画を撮っていたかのように、伊丹映画の話題が出てくる。  没後25年を迎えた今年、日本映

伊丹映画はメイキング&特報にも注目せよ

 かつて、テレビドキュメンタリーに企画から参加していた伊丹十三にとって、「メイキング」とは、人気俳優のオフショットでもオマケでもなく、映画本編に拮抗する、いや映画以上の面白さが無ければならないものだった。  伊丹映画には、『タンポポ』から『大病人』まで、映画本編に劣らない質の高いメイキングが作られている。『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』『マルサの女をマルサする』『マルサの女2をマルサする』『[あげまん]可愛い女の演出術』『ミンボーなんて怖くない』『大病人の大現場』がそれで