伊丹十三と特権的映画都市・東京
『ぴあ』は東京を映画都市に変えてしまった いささか惹句めいた言い回しに思えるが、『話の特集』(1983年7月号)で、映画評論家・蓮實重彦との対談に挑んだ伊丹十三は、「『ぴあ』は東京を映画都市に変えてしまった」と興奮気味に語っている。
つまり、雑誌『ぴあ』の出現で、思い立った瞬間に見知らぬ町の映画館で何時から何が上映されているかを把握できるようになった。そればかりか、名画座やオフシアターでの自主上映会も網羅されるようになり、それらの情報を蓄積すると、東京はパリにも劣らない〈映