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Tinder格闘記

30歳になった。

ふと仕事終わりに感じる寂しさと、体の奥底からじんわりと溢れ出す性的な欲求に抗えなくなって、数年前に登録したきりになっていたTinderを開いた。

三密回避やら緊急事態宣言やら、誰かと会うことすら禁じられるこの世の中で、見ず知らずの男女が仲良く愛を育むことなんて、村八分覚悟の重罪に値するような禁忌である。

しかし、今の私は、世間体以上に、少女のような胸の高鳴りと、獣のように止まらない衝動の波にのまれそうになっていた。

私は気づいてしまったのだ。

Tinderにはいい男がたくさん集まっていることに。

こんな世の中でも、やはり行動しなければ何も始まらない。国は私に若返りの薬は与えてくれないし、私は知らぬ間に歳を重ねていく。

今を楽しんで生きなくては。

私は、いい男と出会うべく、スワイプの旅に出た。

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