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再会したお菓子缶

子どもの頃に持っていたお菓子の缶。
金色で、貴婦人の絵が描かれていて、なんかゴージャスで、印象に残っていた。

ずっと忘れていたけれど、私はそれに確か、貝殻を入れていた。

私が通っていた幼稚園の園庭(というか運動場)の一角には、小さな貝殻の混じった砂が撒かれていた。園児達の中ではそれは海の砂、という話だった。そして、撒かれていた、という様子だったとは思うけれど、下の方まで埋まっていたのかもしれないし、よく分からない。
その一角以外は、貝殻なんて落ちていない、普通に運動ができる土のグラウンドだったし、グラウンドと遊具のあるエリアの間は、園バスが通るために、土がより固まっていたからだ。
貝殻の混じった砂が撒かれていたエリアは、旗を掲揚するすための場所であり、園舎から遊具エリアへのルートというか通路でもあり、さらに運動会の入場の待機場所で使用したりもしていた。
記憶の中では、旗の掲揚のために、その周囲に座って待つ、というか、皆で旗が上がる様子を見守る、という時間が結構あったように思う。旗の掲揚は当番の子がやっていて、私はいいなぁやってみたいなぁと思いながらも、一度もやれなかったような気がする。

そこで、座っている間に、貝殻を探していたのだと思う。巻貝が珍しかった、ということは覚えている。貝殻はとても小さくて、幼稚園児にも、小さいな、と感じるほど小さかった。

そしてたぶん、それをスモックのポケットに入れて持ち帰って、そっと缶に入れていたんじゃないだろうか。缶は小さな貝殻(しかも割れていない綺麗なものはたまにしか見つけられないため、たいして増えない)を入れるには、大きすぎたように思う。蓋を開けて缶を斜めにすると、隅っこに貝殻がさらさらっと集まるだけで、ほぼ空間だった。

再会した缶(入りお菓子)は、今でも普通にデパートのお菓子売り場で売られていた(※「レーマン」の「ルーブリアン」)。
現役だったとは。
思っていたサイズのは無く、過去に持っていたものよりも少し小ぶりだったけど、そのお菓子缶は意外とリーズナブルだった。そして、今見ても缶はゴージャスで、素敵で、キラキラしていた。金色、というのが、大人になった今でも、ときめく。

断捨離とかしているけれども、なぜだかこうして、子どもの頃に持っていたものとか、懐かしいものを集めようとしてしまう。

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