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「○○の解像度を上げる」って言葉は何が良いの?

解像度とは、コンピュータ等のディスプレイに表示される画素数を表すというのが、本来の意味だと自分は理解していますが、最近だと使い方が多様化してきていて、「世界の解像度が〜」とか「人生の解像度が〜」のように使うようです。それらの表現自体を否定する気はありませんが、ことビジネスの現場において「分析の解像度上げる」や「企画の解像度を上げる」などの用法に関しては自分は良い使い方だと思ってません。解像度を上げる方法は色々あって状況によってベターなものが変わるので、文脈が読めなければコミュニケーションエラーになると思うからです。であればそんな意識だけは高い系が使うような言い回しをせず、最初から具体的に説明すべきでは無いでしょうか?  解像度を上げる方法のいくつかを取り上げて説明します。

ディスプレイ自体のの台数を増やす。

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解像度を画素数として捉えた場合、その画素数の一番手取り早い方法はディスプレイを増やすことです。フルHD(1920x1080)を2台おけば単純に解像度は2倍になります。「企画の解像度を上げる」と言った人の認識がもしこの方法だった場合は、既存をベースに横展開してきそうじゃないですか? 例えばAKB48を基準にSKE48作ったりSDN48を作ったりする感じです。

コスト重視で事業をスケールする段階なら正解かもしれません。しかし「NiziUプロジェクトのように原点回帰が必要だよね?」と思っていたとしたらどうでしょうか。解像度コミュニケーションは失敗ですね。


ディスプレイ自体の解像度を上げる(パターン1)

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ディスプレイの台数を増やさずにそれ自体の解像度を増やすこともできます。この場合の画素数は4倍になります。 ディスプレイのスペック(視野角、応答速度、コントラスト比、色域..etc)はそのままにして物理的なサイズを大きくするパターンです。テレビを買い換えるという場面においては良いかもしれませんが、例えばデスクにおくとなるとどうでしょうか、ディスプレイとの距離が近くなってしまい首を動かしたり目線が大きく動いてしまうので疲れてしまいますね。もしこのやり方で解像度を上げる場合、例えば企画は「海老谷プレゼンツ 限定ジャンケン会場として南青山 和食ダイニング匠を選ぶ100つの理由」になってしまうんじゃないでしょうか?  

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(中間管理職トネガワより:  100の理由とか多過ぎて読めないだろ海老谷・・・こいつズレてやがるのシーンより)


ディスプレイ自体の解像度を上げる(パターン2)

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ピクセル密度(ppi)を高くすれば物理的なサイズが同じディスプレイでも解像度を上げることができます。ppiとは、物理的な尺(1inch)に対してピクセルが何個入っているかということを表した尺度ということになります。つまりppiが高ければ高いほどキメが細かく表示できる能力があるということになります。

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(参考 : designing for multiple screen densities on android)


では、ピクセル密度を高くすればするほど良いのかというとそうではありません。例えばフルHDの画像を4kモニターで表示する時、画像を4kに拡大(アップスケール)しなければならず全体的にボヤけた品質になってしまいます。単純に画素数だけで比較するならば、フルHDのモニターで見るのが一番綺麗ということになります。

きめ細かい表現が不要な場合には、4kを使ってもfullHDの場合と比べて変わりません。要はコンテンツによってはピクセル密度が高かろうがメリットがないので、費用対効果が悪いということになります。 また人間の網膜で認識可能なピクセル密度は限界があるとされているので、それを超えるものを作っても同じです。

ピクセル密度を上げることで解像度を上げる手法を選んだ場合、思わぬ弊害が出てきてしまいます。一番綺麗に映るのは、より解像度が高い方とは限りません。


まとめ

「解像度を上げる」とは具体的にどのやり方を示しているんでしょうか。「ピクセル密度は上げれば上げるほど良い」っていう前提で考えている人にとっては、それがベストな方法として自動的に選別されるかもしれません。ただそれは明確に誤りだと言えますし、ベストと思われる方法は文脈によって変わってきます。 既に共通言語となっていれば、抽象度の高いキーワードを使って無駄なコミュニケーションを省くことは有効かもしれません。 ただあえて受け取り方が広いやり方を選ぶ理由が理解できません。だったら最初から、「ピクセル密度上げます!」または単純に「密度上げます」って言えば良いだけのことでは無いでしょうか?

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