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プラスチックを量産するために

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樹脂で量産するための豆知識
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プラスチックを量産するために収縮率を考える

プラスチックを量産する時には収縮率というものを考慮する必要があります。 プラスチックは液体の状態で型に流し込まれ、冷やされて固体されます。っその時にに少し縮みます。収縮率とはこの体積の変化率のことをいいます。 金型の寸法は、実際の製品より大きめに、つまり“液体のときの比率”に合わせて考える必要があるわけです。  収縮率を使って実際の製品と金型のサイズの関係を表現すると、このような式になります。 (実際の製品)×(収縮率)=(金型でのサイズ)  例えば、長さ100mmの

プラスチック成形の種類と特徴

樹脂(プラスチック)の成形方法といえば射出成形が一般的ですが実は射出成形以外にも成形方法があります。製品の形状や必要な数量、樹脂の種類などなど、様々な条件から適した方法で成形します。 射出成形 最も一般的な樹脂の成形方法。射出成形機に取り付けられた金型により、プラスチック材料の溶融から射出、冷却を行うことにより形状を作る方法。自動車や家電,携帯電話の外装など、多くのプラスチック製品に用いられている。 真空注型 マスターモデルをもとにシリコン型を作成し、真空状態の中で硬

プラスチックを量産するためにヒケを考える

プラスチック成形の不具合のひとつに「ヒケ」という現象があります。ヒケとは成形品の表面が凹んでしまう現象のことをいい、外観不良のひとつになります。 ちなみに成形不良のひとつに「ボイド」という製品の内部に気泡ができてしまう現象もありますがこれの原因のもヒケと同じ理由になります。 「ヒケ」や「ボイド」は成形時の温度差によって発生する現象です。 プラスチックは液体の状態で型に射出され、型内で冷却固化されて個体として成形されます。冷却固化される時に均一に冷却固化されるのであればいいで

プラスチックを量産するためにパーティングラインを考える

たい焼きを焼くときは2枚の鉄板を重ね合わせて焼く様に、金型も固定側と可動側と呼ばれる2枚の板を合わせて成形します。この可動側と固定側の分割される位置をパーティングラインといいます。PLなどと略されたりします。 パーティングラインはどこに設定してもいいわけではなく、原則として製品を金型平面で見た時に一番外側になる部分に設定します。それ以外の位置に設定した場合には、通常の金型の動きでは製品が取り出すことができないアンダーカットが発生してしまいます。 ちなみにパーティングライン

プラスチックのアップサイクル

ここ数年、プラスチックのアップサイクルに関してのご相談を度々受けます。実際にどのような行程を行っているのでしょう? 今回は『ペットボトルのキャップ』を例に行程をご紹介します。 ペットボトルのキャップを回収し、粉砕(または裁断)、射出成型機で成形します。 すでにこちらの方法を取り組んでいらっしゃる会社をご紹介します。 株式会社オリジナルマインド様 自社の手動射出成型機INARIを使ってキーボードのキーを作成されています。 キャップの種類別に成形してみるのもおもしろい。 h

プラスチックを量産するためにアンダーカットを考える

アンダーカットとは通常の金型の開きで処理できない形状の事を言います。例えば、製品の横に穴が開いているような形状では通常の金型の動きでは処理できません。この様な形状をアンダーカットといい、アンダーカットを解消するためには別の機構を設定して処理をする必要があります。 アンダーカットがあったとしても通常の型開きに別の処理を加えれば成立はするので、アンダーカットがあっても問題ないといえば問題はありません。 しかし、別の処理を設定するということは金型の部品が増えるということになるわけ

プラスチックを量産するために肉厚を考える

樹脂製品を考えるときには筐体のデザインと内部機構を両立させて設計を進めます。 ここでポイントとなるのが製品の厚み、肉厚です。3Dプリンターで製作するのであれば肉厚は関係ありませんが、射出成形など樹脂を成形するのであれば最適な肉厚があり、この肉厚が薄すぎても、厚過ぎても成形不良の原因となってしまいます。 最適な肉厚については製品の大きさや形状の複雑さ・用途などによって一概には言えないところもありますが、雑貨や自動車部品など一般的な射出成形の場合だと、肉厚は1.5mmから3mm

プラスチックを量産するために抜き勾配を考える

プラスチックの製品を量産するときには金型が必要になってきます。金型で製品を成形するためには色々なルールがあります。 3Dプリンターなどで作った試作品が金型で成形するとなるとそのままの形では成形できないとか、金型が高額になってしまうと言うことは多々あります。場合によっては外観のデザインに影響する場合も多々ありますので金型のルールをある程度を知っておくことはとても大切なことです。 注意しなければいけないことは色々とありますが、その中のひとつが『抜き勾配』です。 上の画像の左側