日記

今日は、依頼していた出張買取が家に来る日だった。

部屋にものがなんかこう多い気がするなあ、とずっと思っていたからだ。

依頼したのは「kaitotteyannyo」という会社の買取屋で、

ネットで調べて出てきた買取屋の中で群を抜いて社名がよかったので、即決でここにしたのだった。

あとからちょっと気になって「kaitotteyannyo」の口コミを見ていると、

★★★☆☆ 30代男性 色々な面において、いいとも言えるし、よくないとも言える。
★★★☆☆ 40代女性 のびしろがある。でも、やっぱりないかもしれない。
★★★☆☆ 20代女性 もう少し頑張れると思った。頑張っているようにも見えたけど。

全体の平均の星の数としてはちょうど3.2で、60件くらい寄せられていたコメントもこんな感じで総じてふわふわしたものだったので、ちゃんとした会社なのだろうか、不安になってきた。

そこで、お母さんにこの会社にで大丈夫だろうかと相談したところ、

「絶対やめときなさい」

と言われた。

なので絶対にやめないことにした。思春期がまあまあ残っているので。

事前に当日訪問の30分前に電話で知らせると伝えられていたが、電話はきちんと予定時刻にかかってきた。よかった。

通話はこんな感じだった。

「もしもし 、kaitotteyannyoの田中でございます」

「はい」

「これから伺いますが大丈夫ですか?」

「大丈夫です」

「承知しました」

「よろしくお願いします」

「あの、一点だけお客さんにお願いがありまして」

「はい」

「ほら、僕って怪しいじゃないですか」

「はい?」

「風体が」

「あ、風体が」

「はい、風体が」

「そうなんですね」

「そうなんです、それで、訪問させていただいた際玄関先でお客さんを不安を与えてしまわないために、合言葉をあの、作ることにしてまして」

「あ、田中さんがちゃんと業者の方だって、確認するための?」

「まさに」

「あ、はい」

「合言葉システム、ご納得いただけそうですか?」

「はい」

「助かります、では今回はこちらで事前に決めさせていただいておりまして」

「はい」

「繁忙期なもんで、ご了承ください」

「繁忙期、はい」

「まさに、、」

という感じで、合言葉が与えられた。

具体的には、

玄関先で田中さんが

「パスタはパスタでも、食べられないパスタは?」

と聞いたら、私は

「パスタサラダ」

と答えれば良いとのこと。

パスタサラダは全然食べたこともあったのであまり納得のいく合言葉ではなかったものの、

繁忙期の中事前に決められたものだったので何も言えなかった。

それから電話口で合言葉の掛け合いを電話口で4回練習した。

途中田中さんは、

「今、実は運転中なんですけど、ハンズフリーなんで安心してくださいね」

「ハンズフリーなんで、大丈夫ですから」

「なお今はハンズフリーです!」

みたいに、何回か安全運転アピールで安心させてくれた。

電話を切ってから20分後、待ちに待ったインターフォンが鳴った。田中さんだ。

4回練習したので、合言葉はバッチリだ。

インターフォンの通話ボタンを押すと、

「こんにちは」

「お待ちしておりました」

「はい」

「はい」

「ところで、どういうパスタがお好きですか?」

きた。

よく聞くと電話口での練習と違ったものの、パスタ系の問いかけだったので反射で気がついたら

「パスタサラダ」

と答えてしまっていた。

答えてから、なんか違った気がするかも、と思った。

そわそわしていると、

しばらくあったのち

「私に食べられないうどんは無い・・・」

と言い残して通話を切られてしまった。

切られる直前に、

「パスタサラダ!!田中さん!」

と呼び掛けたものの、もう間に合わなかった。


今となっては、インターフォンの人物が田中さんだったのか、それとも別の何者だったのか知るよしも無い。

お母さんにこの一連の出来事を話したところ

「きもー」

と言っていた。

私は、絶対にきもくなんかないもん、と思った。


結局相変わらずやっぱり部屋にものはなんか多い気がするので、またどこかに出張買取依頼するかもしれない。

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