日記

今日は、とけいちゃんの家に遊びに行く。

とけいちゃんは同級生の女の子で、

時計好きなので「とけいちゃん」という名前で呼ばれている。

ちなみにとけいちゃんは、時計好きであるものの

デジタル時計にしか興味がない。

家にはデジタル置き時計がたくさん飾られている。

そんなとけいちゃんの家は、閑静な住宅街の、庭付きの一軒家だ。

1階の窓際の部屋に通される。

とけいちゃんは

「お茶出すから待っとって」

と言って、私は部屋に1人残される。

窓から、庭が見える。

私は、庭はいいなあと思った。

こぢんまりしているものの、
花壇やウッドデッキなどがセンス良く配置されている。

向かって左側には、柵に沿って花壇にコスモスが植えられている。

きれいに咲いている。

花壇の手前には、陶器のドワーフが大量に配置されている。

20体くらいだろうか。

コスモスをバックに、色とりどりの衣類を身に纏ってほほえんでいる。

ちょっと数が多いなとは思ったが、かわいい。

庭の中央部には、また円形の花壇があり、コスモスが植えられていた。

その円形の花壇の周に沿って、ドワーフが30体ほど並んでいる。

また、コスモスをバックに色とりどりの衣類を身に纏って微笑んでいる。

数の多さは気になったが、やっぱりかわいい。


庭の向かって右手側には、ウッドデッキがあり
隣にベリーがなっている木が1本植えられていた。

庭はいいなあ。

ぼーっと眺めていると、

ウッドデッキの下になにか物影が見えた気がした。

なんだろう。

そのタイミングで、友人が部屋に戻ってくる。

とけいちゃんは

「おまたせ〜あ、お茶忘れた。もうちょい待っとって。」

といい、また部屋を出ていく。

私はなんじゃそりゃと思いながら

さっきのウッドデッキの下に目をやる。

見ると、ドワーフが1体いた。

1体きりで、赤い服を着てにやにやしている。

あらためて見るとドワーフは庭じゅうに飾られているのに、

なんでこいつだけウッドデッキの下なんかに配置されているのだろう。

あとでとけいちゃんに聞いてみよう。

と思っていたら、とけいちゃんが戻ってくる。

とけいちゃんはドアを開けるやいなや

「お待たせ〜あ、お茶忘れた。もうちょい待っとって。」

と言ってまた引っ込んでいく。

私はなんじゃそりゃと思った。


2時間待った。

とけいちゃんはようやく戻って来て

「お待たせ〜あっお茶忘れた。もうちょい待っとって。」

と言って入ってくる。

なんなら、言いながら入ってくるので意味が分からない。

しんどい。

私は、もう待ちたくないと思ったので

「お茶、無くても大丈夫だよ。」

というと、友だちは

「そか、そうだよね〜。」

と言って、ようやく私の向かいに着席する。

すると直後、ドアがノックされる。

とけいちゃんの母親だ。

母親は

「ダージリンよ〜。」

と、

ポットとティーカップの乗ったお盆を持って入ってくる。

なんじゃい。

とけいちゃんは

「あっ、お茶だ〜。」

と言って、お盆を受け取る。

母親はお盆を受け渡し、無言で捌けていく。

すごく気持ちが悪い場面だった。

がダージリンは普通に美味しかったので、

ありがたかった。

ひと段落して、

私はドワーフのことをとけいちゃんに聞いてみようと思った。

私は

「お庭見てたんだけどさ、ドワーフいっぱいいてかわいいね。」

と言うと、

時計ちゃんは

「ね、私が配置したんよ。ドワーフじゃなくて全部サンタ🎅なんだけどね。」

と言う。

私は、

「サンタなんだね。すごい量だね。」

と言うと、とけいちゃんは

「でしょう。サンタ🎅がサンタ🎅の王国で、なんやかやしているところを再現したんよ。」

と言うので、

なんとなく私はこのタイミングだと思い

「あのウッドデッキの下の子は?なんであんなところに1体だけ置いてあるの?」

と気になっていたことを聞いてみる。

すると、とけいちゃんはダージリンを

ずごご、とひとすすりして

「あれはドワーフだからね。」

と言う。

ずごご、が気になる。

私は、とけいちゃんの中でのサンタとドワーフの違いがよく分からなかったので

「何が違うの?」

と聞いてみる。

すると、とけいちゃんはまた

ずごごご、とダージリンをひとすすりして

「衣類が青いでしょう?」

とちょっとキレ気味に言う。

何でキレ気味なんだろう。

しかも庭に並んでいるドワーフの中には、普通に青いやつもいる。

ドワーフのよく分からない話に関しては最悪良いとして、

ダージリンの、ずごごの音だけ最後まで腹が立った。


帰り際に、とけいちゃんと母親に玄関まで見送ってもらう。

私は

「おじゃましました。ありがとうございました。」

と挨拶する。

母親は

「ごめんね、さっきのお茶ダージリンじゃなかった。かと言ってアールグレイでもなかった。アッサムかというと、そうでもなかった。また遊びにきてね。」

と言い、とけいちゃんは

「やば、ずごごー。ばいばい」

と言い、送り出してくれた。

私は一礼して家を後にする。

私は家に帰ってダージリンを飲んだ。

クリスマスが待ち遠しいと思った🎅。

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