日記

今日は、通帳の繰越しをしに郵便局へ。

「繰越しお願いします」

と窓口のお兄さんに声をかける。

するとお兄さんは腕まくりをしながら

「繰越しですか!よりによって!!」

と言う。

「難しそうですか?」

と聞くと

「いや!腕が鳴ります!」

とお兄さんは

まくった腕を私の方に見せてくる。

すると、勢いで

腕がアクリル板の衝立に

「ガン!」

と音を立てて当たってしまった。

お兄さんは小声で

「いっち〜」

と言った後

「ね!鳴ったでしょう!腕!ガンて!」

と言ったが

私は困ったのでスルーした。

「頑張らせていただきます!少々お待ちを!」

とお兄さんは奥に捌けていく。

5分後、お兄さんが新しい通帳を持って戻ってくる。

「ありがとうございます」

と受け取ると

「いや、かなり頑張りましたね!」

「繰越しってそんなに難しい作業なんですか?」

と聞くと

「そうですね、簡単に言うと、難しいですね!」

ここんとこ見てください、とお兄さん。

閉じた状態の通帳の表紙を、

手のひらで広範囲をぐるぐると指し示す。

どこがそうなのか、よく分からなかった。

「ま!だからこそ、腕が鳴るってもんですね!」

とお兄さん。

シャツをまくった腕を、また私の方に見せてくる。

すると、

「ガンッ!」

とお兄さんが叫ぶ。

びっくりした。

「こんどは僕が言いました!

鳴ったでしょ!腕!」

私は困ったので、そのまま何も言わずに建物を出る。

家に帰って、繰越したての通帳を開いてみる。

パラパラめくっていると、間に紙が挟まっていた。

折りたたまれていたものを開くと、

ちょうどB3のサイズだった。

でかい。

見ると

 1. 本人確認をする
 2. 通帳が最新のものか確認する
 3. …

みたいなことが箇条書きで書かれている。

繰越し手続きの職員用マニュアルだろうか。

手書きで裏までびっしり文字が書かれている。

最後の項目を見ると、

 253. おつかれ!

となっていた。

この253工程にもわたる手順の手続きを、

あのお兄さんは5分で済ませたのか。

すごすぎる。腕も鳴るわ。

とりあえずこの紙は、お兄さんに返しに行かなければ。

無いと確実に困るだろう。

それで、

「お兄さんすごいです」

と絶対言おう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?