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2022年ウッドショックの動向

お世話になっております
株式会社コシイプレザービングの池本です。

noteでは「暮らしを守る」をテーマに発信していきます。

今回は「2022年ウッドショック」についての記事になります。
住宅業界に大きな歪を与えた出来事です。木造住宅の歴史の教科書があれば間違いなく記載される内容でしょう。

ウッドショックを知らない方もすぐに理解できるような内容になっておりますので、是非最後までご覧ください。

ウッドショック

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ウッドショックとは
・・・2021年3月頃から。木材の需要と供給がひっ迫。
木材不足により価格が高騰し、大きな混乱が生じている状況の事。
かつてのオイルショックになぞらえて名付けられた言葉。

簡単に言うとウッドショックは上記の通りです。
需要と供給のバランスが崩れたということは、本来手に入るはずの木材が手に入りにくくなったということ。
価格も大きく高騰し2~3倍にもの価格になってしまいました。
これにより住宅業界は大きな影響を受けました。

何故起こった

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では、何故ウッドショックが起きたのか。それは世界の動向を読み解くことで真実が見えてきます。

大きく3つの理由がありますが、その前に「日本の木材自給率」の話をする必要があります。

日本の木材自給率
・・・日本の住宅メーカーが使う木材は7割が外国産材です。戦時中の森林の伐採、戦後に住宅需要がひっ迫したことで更に伐採され国内の木材は減少しました。
その後、外国産材の方が価格が安いこともあり輸入に頼ることになりました。
さらに、国内の林業従事者の減少も伴い自給率は低下、外国産材に頼らざるを得ない状況になりました。

日本の自給率の低さを知ったうえで3つの理由を見ていきましょう。

①木材の減少とコロナ

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・・・カナダで発生した害虫被害や火災被害に加え、コロナ禍で労働者が減少し、伐採が上手くいきませんでした。そして、製材工場の稼働率は大幅に下がってしまい木材の供給量が減ってしまいました。

②アメリカ・中国での建築ラッシュ

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・・・アメリカや中国では莫大な財政出勤と住宅ローンの低金利政策がとられた結果、市民のリモートワークのために郊外に、新しく住宅を購入する人が増えていきました。それにより木材の供給が海外に向いたことで、日本への供給量が減少しました。

更に細かいことを言うと、「Jグレード」も関係してきます。

Jグレード(JAPANグレード)
.・・・日本向けに用いられる住宅用木材の格付け。見た目に対しても厳しい基準が設けられている。

日本は高品質のものを要求するわりに、低価格で木材を購入していきます。
それに対してアメリカや中国では品質はそこまで求めず、高い値段で購入してくれます。
供給者目線で見ると、材料不足の中、品質にうるさい日本に対してそっぽを向いた形になります。

品質は求めず、高い値段で買ってくれるアメリカや中国に売りますよね当然。

③コンテナ不足

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コロナ禍により自宅で過ごす環境が増えたことで、ネットショッピングの利用が爆増しました。それにより世界的に流通が圧迫され、コンテナ不足が起き、日本へ木材があっても運べないという状況が起きてしまいました。
さらに2021年3月にスエズ運河で発生した大型コンテナ船の座礁事故の影響で、日本へのコンテナ輸送の遅れに追い打ちをかけてきました。

スエズ運河封鎖事故
・・・2021年3月23日の現地時間午前7時40分にスエズ運河において、日本の正栄汽船が保有し台湾の長栄海運が運用するコンテナ船「エヴァーギヴン」が座礁した上、他の船舶の通航を遮っていた事故である。(Wikipediaより抜粋)

「木材が足りない」と一言で言っても、これだけ世の中の情勢が関係しているのです。

住宅業界への影響

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木材が日本に入ってこない事と価格高騰が大きな影響でしょう。

このしわ寄せは家を買うお施主様にも降りかかってきます。
実際に弊社のお客様であった例だと、家代の見積は当初約2400万だったのですが、毎月、毎週のように価格がウッドショックで上がってしまったために、いざ契約となった時には見積300万UPの2700万までに跳ね上がってしまいました。

私の知り合いの話ですが、木材代で家の値段が当初の見積より高くなってしまったことで、一部プランを断念し満足のいく家づくりにならなかったに人もいます。

更に着工遅れもありました。本来であればすでに着工、引渡しまで終わっている予定のはずが、木材が無いために家を建てる工事が出来ず、引渡しが3~4カ月遅れた事例もあります。

「木が足りない」というだけで、これだけの影響を日本住宅業界に与えていきました。

2022年のウッドショックの今とこれから

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ではウッドショックが始まって約10カ月経った今、現状はどうなっているでしょうか?

結論、まだウッドショックは続いてるとも言えるし、終わっているとも言えます。

どういうことかと言いますと、

木材の供給が少しずつ戻ってきたこともあり、「木が足らない」という状況は脱してきました。

しかし、木材の価格は高止まりしたままです。しかし、以前のように毎週のように価格が上昇していた頃と比較すると落ち着いてきたとも言えますね。

ウッドショックの要因の一つであるコロナは、木材だけではなく半導体までも供給を減らしています。

半導体が無いということは給湯器やトイレといった住宅設備が無いということです。家は出来たけど、給湯器やトイレが無いから引き渡しできないというのはあるそうです。

ウッドショックは落ち着いてきた(それでもまだ価格は下がっていない)が、コロナによる住宅業界への影響はまだ終わっていないというのが、「2022年のウッドショックの現状」ではないでしょうか。

未来としても今よりも価格が上がることは想像しにくいと思います。
しかし、現状の高止まりした価価格からすぐに下がることも無いと思います。

結論

今回はウッドショックについて書かせていただきました。

弊社も木材を扱っており、工務店やハウスメーカーと一緒に家づくりを一緒に行っています。

つまり、ウッドショックの影響をもろに受けた企業です。

ウッドショックやコロナ等まったく想像もしなかった未曽有の事態が起きました。

しかし、逆に言えば新たなビジネスチャンス、今まで見えなかった所が見えてきた企業もあるのではないでしょうか?

落ち着いてきたとはいえ、さらに身を引き締めていく必要がありそうです。

今回はこれで以上になります。お疲れ様でした。失礼します。

余談

ちなみに弊社ではコロナ禍を利用してYoutubeを開始しました。
私もMCとして出演しています。
ウッドショックも動画にしていますので、気になった方は是非ご覧ください


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