にちようびのはなし

今日は「彼女」と会う日だった。

別の女の子の話ばかりしてしまっていて申し訳ないので、少し「彼女」のことにも触れたいと思う。

「彼女」は去年の春くらいに友達から紹介された。第一印象は「おっとりした人」で、僕とは真逆のタイプだったけど、何回か一緒に遊ぶうちに心地よさを感じるようになっていた。

それは多分、こちらの話をよく考えて、咀嚼してくれる人だったからだと思う。平日夜に会うことが多かったのと、当時見たい映画がお互いにたくさんあったので、デートのほとんどは映画だった。見終わった後、映画の内容についてあれやこれやと話す時間が好きだった。「あそこがよく分からなかった」という彼女に、僕が熱のこもった解説をすると、「そういうことだったんだ〜」と納得する、その瞬間がとても心地よかった。

あとは、僕も彼女も意味のない寄り道が好きで、その時間も心地よかった。ただの住宅街を歩くだけでも、楽しめるような人だった。

それから夏になった頃、僕から彼女に告白をした。あれは花火を見にいった帰りだった。

しかしその時は、「自然消滅しかかってるけど、決着のついていない彼氏がいるから、別れるまで待ってほしい」と言われ、保留にされた。それからずっと待たされ、結果秋になるまで、彼女からの返事はもらえず、しかし向こうから「付き合ってください」と言われてようやく付き合うことになった。

ただ、何故か付き合ってからお互いのタイミングが合わず、というより彼女が予定を詰めすぎていて僕と会う隙間がなく、月に1度会うかどうかの日々が続いていた。

最後に会ったのがいつか思い出せなくて、カレンダーを見返してみたら、なんと去年のクリスマス前に会ったのが最後だった。しかもその日は確か僕が仕事を早めに切り上げて帰る直前に先輩に捕まってしまって、約束の時間から1時間以上も遅れてしまったために、正味2時間くらいしか会っていなかったはずだ。年末年始すらLINEが返ってこなくて、年もすっかり明けてからあけおめと言われて流石に落ち込んだことを覚えている。

そんなわけで丸1ヶ月以上ぶりのデートは、やはり映画だった。

ヒトラーを題材にしたコメディ映画で、男の子がヒトラーを目指して日々奮闘する、というような映画だった。意外にも心温まる映画で、最後には泣き所もあって、いい雰囲気で映画館を後にした僕らは、近くのカフェに入った。

カフェに入って早々、僕は彼女に別れ話を切り出した。カフェ営業がディナー営業に切り替わるくらいまで色々なことを話したのだけれど、要約すると、「曲がりなりにも君から告白して付き合うことになったのに、こんなにも会えない、連絡もこない、というのは流石にしんどい。どう思ってるのか」という僕に対して、「別れたくはない。こんなことを言うのも変だけど、あなたと会うことが私のルーティンに入ってきていなくて、だから友達との予定を先に入れてしまってあなたに会えない、でも別れたくないからもう少し待ってほしい」という、思わずその場で笑ってしまったくらいの斜め上の回答をもらった。付き合って数ヶ月の彼氏に向かって「ルーティンに入ってない」と言い放つ度胸がすごいなと思いつつも、丁重にお断りをして、「機会があればまた会いましょう」とお別れをした。



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