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酷暑女

えー、冬の雪女はよく聞きますが、夏はなんでしょう?

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ある夏、海に友達と出かけた帰り。とは言え各々自分の車で来ていたので行きも帰りも1人だったのだが、道に迷った。
酷暑の中、海でたっぷり遊んで、日に焼けて疲れていたのもあったとおもう。

街灯の少ない田舎な道の途中で止まり道を確認する。どこで間違えたのやら……

そんな時、後部席から
「私も道に迷ったんだけど」
と声がした。振り向くと、日に焼けた黒い肌に白いビキニ。金髪のギャルっぽい知らない女の子が乗っていた。

エアコンで寒いくらいの車内が、急に暑くなった気がした。
「いつの間に」と驚いている間もなかった。
後部席から身を乗り出してギャルっぽい女の子が近ついてきた。
「私、さゆり。よろしくね」
車内だけじゃなく、暑くなった。


ーー翌日。

2人の老人、茂作と巳之吉は乗り捨ててある車を見つけた。
茂作は「また出た見てえだな」
巳之吉は「今年はよく出るのう」
「雪女の親戚の『酷暑女』の仕業だな。車ん中で人が蒸発したんじゃろう」

「まったく、夏は熱中症と酷暑女には注意せんとな」


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