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推しがほしい。

雨が水面にキスをして、波紋ができる。

ごきげんよう、もくれんです。

予定を自分で入れないとダラダラしがち。無職になって10日ほど経ちました。昨日くらいからやっと「元気」って感じになってきて、久しぶりに長くお散歩をしました。今日は筋肉痛で一日伏せる。散歩進んで二歩下がる。誤字だけど、まさにそのようでありました。365歩のマーチ。真希波マリか。

同じく会社を退職するなかよしのレストランのお兄さんが「退職してからなるべく予定を詰め込みたい。有休期間中は、勉強する。何もしないの苦手なんだよね。」と言っていて、改めて私との違いをしみじみ感じた。私なんて4ヶ月近く休職してんのに、退職してやっと心が解き放たれたからゆっくりしよう、なんて思ってる。親の金を使うのは嫌だとあんなに頑なに思ってたくせに「結婚もしてないし、一人暮らしして長いし、親の金を使わず今までまぁまぁ頑張ってきたほうだから使わせてもらおう。結婚してたら、結婚式代やら家の購入やらで絶対親を頼ってたはずだけど、私は今まで使ってないし良いことにしよう。」と、神経がめちゃくちゃ図太くなり、いちいち心のなかで「これも親の金。。」と思いつつも、やりたいことをやりたいようにやっている。昨日も美術館で散財した。

少しずつ会社に所属していたことが遠のいていって、毎日静かな感情が湧いてくる。休職中の泥々した気持ちとは別の静かな気持ち。まだ転職活動始めて無いからなんだろうとも思うが、心が本当に穏やかだ。単純に嬉しい。

次の会社を考えないとなぁ、となんとなもなしに思いながらいるので、日々の端々で「こういう会社は嫌だな。」と気づく。例えば、どうやら地下鉄通勤は苦手そうだとか。新卒の頃は地下鉄で1時間弱かけて通ってたはずなんだけどな。楽天からよくオファーメール届くのだが、二子玉に通うなんて無理だ。20代が多い会社はもう行かなくていいや、とか、イケイケのIT企業も倫理がない会社だと知ると興味を失ったりとか。

こうして無職になって考えてみると、休職中とは違った気持ちで新たな観点が見えてくるから不思議だ。休職中に転職しちゃえば一番経歴的には綺麗だったけど、あの時転職活動を止めておいてよかったと思う。自分に自信がない状況に負荷をかけることになるし、復職可否の回答期限までに就職が決まらなかったらと変に焦っただろうから。今のほうが釣書は悪いのに、すごい自信あるもんなw自信というか、気持ちが明るくて、余計な不安が心にないから、ちゃんと「目に見えるすべてのものはメッセージ」として受け取れる余裕がある。何度か落ち込んで辛いトンネルに入り込む私だけど(新幹線で行ったら山口あたりを通ってる気分。)その度にトンネルの歩き方が上手くなったし、トンネルの中では明かりが足りないからうまく前に進めないということも経験している。今回改めて、心が淀んでるときはリセットボタンを押したほうが良いんだと気づいた。もちろん、リセットボタンを押すのは猛烈に怖いが。

休職開始のときもそうだし、退職もそうだが、本当に引き際というのはその人らしさが克明に現れる。労務で退職面談も休職面談もたくさん行ってきたが、本当にいろんな人がいる。美辞麗句を並べて裏で会社の悪口言ってるのは本人はバレないと思ってるんだろうが大体バレてるし、他責で語る人間ほど周りからの評価が低い(ように思う)。活躍していた人のほうが感謝しか述べない。なんだろ、離婚とか別れる時と似てるんだろうな。最後が汚いと、結局双方の関係はあまり良くなかったんだなと思う。

あと、退職者が退職後に語るストーリーは、大体本人の都合の良い解釈に書き換えられている。人間って滑稽で太太しくて厚顔無恥な生き物だ、本当に。まぁふてぶてしくないと生きていけないのだけれど。冷ややかな目で退職者の語る退職英雄譚を聞くことで、私のアイロニカルな性格は磨きがかかった。(前職の名誉のために言っておくと、そういう人ばかりでは全然ないよ。基本的にいい人が多いし、社内外問わず満足度は高い会社だと思う。)

この前、手相に行ったら「手相とは今の貴方を映し出すもの。今は閉塞感でいっぱい。人に迷惑をかけたくないというのは建前で、本音は弱い自分を知られたくないと思ってる。あと、人間嫌い、信じてないって手に書いてある。」と言われた。

実家にモリエールの『人間ぎらい』が三冊もあったな、と思い出しながら「人間嫌いになったのは最近ですか?」と聞いてみた。すると「手相は今を反映しているから、人間嫌いになったのが過去・現在・近い未来かはわからない。わからないけど、今のあなたはそう思っているということなの。」と言われた。

思い当たるフシは色々あるので、ふーんと思って聞いていたのだが人間嫌いは果たして今後変わること無さそうだ。いつから人間を信頼してないんだろう。寂しがりやで友達や家族に支えてもらわないと生きていけないくらい、他人に依拠しているクセに「人はどうせ人。」という諦観も同じくらい強い。小学生でいじめられた時に「人類みな兄弟は嘘っぱちだし無理ゲーだな。」と思ったときからだろうか。学校が嫌いすぎて「みんな死なないかな。」が口癖の小中学生だった記憶がある。我ながら根暗を極めている。高校の時「どんな人とも仲良くなれるって信じたいの!」と言った友人を鼻で笑って「それはtoo sweetだね。」と言ったこともあるな。大学時代の部活で、自分の利益のために他人を貶める人を見て人間に絶望したし、私にニコニコしてるくせに裏で陰口を言っている人がいると会社で教えてもらったときも「やはり。」と思ったな。人を信じると裏切られるし、どんなに尊敬できる人に見えても「どうせ人」なので、やっぱり現人神のように盲信するのは危険だなと身構えている。

そんなわけで、私の人生には、推しがいない。ブラコンなので、あえて言えば兄は推しだが、いわゆる推しとはちょっと違う気がする。ジョニー・デップかっこいい!と思って出演作品をやたら見ていた時期もあったが「この人、変人ばっか演じるな。もしかしてハリウッドの竹中直人なのでは?」と思ってから推してるってかんじではないしな。ジャニーズは、クラスメイトのジャニオタが「未成年飲酒で謹慎したジャニーズのための署名」を強制してきた時からスルーして生きてきてしまった。黒柳徹子は大好きだけど憧れであって推してるわけじゃない。三宅健がエイジレスすぎてビックリして、ちょっとだけラジオ聞いてみたけど、もう聞いてない。うーん。

あと、推しがある人を羨ましいと思いつつ「推しは他人じゃん!他人応援してる場合か!?」みたいな謎の疑念もあるんだよな。世界は広がって楽しそうだけど、投資的趣味じゃなく見えるのでそこにお金をかけたいと思えない。趣味にランク付けもクソもないのだが。推しは解散したり死んだり結婚したりするからな~、推しを作る恐怖もあるな。推したら最後、自分が「推す人」になってしまう恐怖。高嶋ちさ子が「応援する人になるか、応援される人になるか、どっちにするか決めなさい。」と息子たちに言ったことがあるそうだが(もちろん、高嶋ちさ子は応援される方がいいらしい。)応援する人≒ファンって、推しの人生に仮託してしまっている感じがして、どうにも推しを作れない。

そんな私だが、友人や周りの人たちに推しがいるのはちっとも気にならないし「推しの人生に仮託してる」なんて思わない。むしろ羨ましいなと思う。推しがある人たちは楽しそうである。推し活動も推しについて語るときもイキイキしていて、「推しのために働く」とか「推しに恥じない生き方」とか眩しい話がたくさんでてくる。推しがいる人はキラキラしている。女性は特に、推しについて話す時「可愛く」なる。可愛くなる時なんて、そうそうない私からすると、日常の中に入り込む推しパワーが羨ましい。

このように他人への目と自分への目が違うことって多い気がする。他人のことだと励ませるけど、自分自身には同じ言葉をかけてあげられなかったりする。人が推してるのは平気なのに、私は誰も推せない。結婚観も似たようなところがある。人間はうつろうものなのに、永遠の愛?しがらみじゃなくて、愛????ましてや友人と違って配偶者は毛穴の見える距離で付き合う相手である。鼻毛だって見える、お互い。裏切るかもしれない男より、メンヘラの私のほうがまだ信じられる。このnote読んでくれてる人たちには誰一人伝わらなさそうだけど、漫画うしとらの流兄ちゃんみたいな。まっすぐなものは眩しくて見られないし、真っ直ぐな人にはなれない。

人間ぎらいの正体は臆病なんだ、結局。信じて裏切られるのが怖い。もう傷つきたくない。それなら「裏切られるかもしれないうたかたの関係性の上にある、愛おしい人」くらいの薄氷の上に立っていたい。怖いから。まぁこんだけ臆病だと、私を大事に思ってくれる他者が兎にも角にも稀有で奇特で「いざ鎌倉」ぐらいの御恩と奉公の気持ちが湧くんでね、悪いことばかりではないのだが。それでももう少し前向きに、人間を信じられるようになれたら良いな~と思う。推しがいる生活というのも味わってみたい。なんせ私は見栄っ張りで他人の前だけシャンとして見せても自分ひとりのためには本当に何もしないし出来ないグウタラ人間なので、張り合いがない。推しがほしい。私の背筋を伸ばすために、推しがほしい。推しがほしいっていうか推せる心が欲しい。他人やモノを推せないなら、自分を推す良いプライドがほしい。ちんけなプライドじゃなくて「私の人生は私が切り拓くのだ。そのために今日も向かい風に帆を張るぞ!」みたいなプライド。自分への美意識。

平日の夜に、こんだけ書くなんて、本当に暇で余裕があるな。甘美な堕落に身投げしてるからポーズだけでも焦らないととnoteを開いてみたけど、私は知ってる。こんな書く時間あるなら、掃除したほうがいい。

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