仏像の像内には何か書いたり、納入して欲しい

仏像を修復したり、新しく作ったりする際には、像内に何か墨書したり、納入品を入れたりする事をお勧めしたい。 子孫へのメッセージとなり、御像を身近に感じるきっかけになるから。

ヒノキの板。これに墨書していただき、像内に納めます

うちでお仏像を修復させていただいた時は、修復の記録として、ヒノキの木札に墨書していただいて、像内か台座内に納入します。修復年月日やご住職様名、関わった人々の名などを、墨書していただき、修復の記録として、像内に納めます。100年以上先の子孫が次の修復の際に目にするので、メッセージなども書いておくといいです。

私の名前も書いていただきますので、後世の人に笑われないような修復をしなければいけません。100年以上先の人に悪口言われるのはいやなので。

他に写経とか、沢山の結縁者の名前を書いた和紙の名簿とか入れたこともあります。SDカード入れたこともありましたが、これは100年経ったら、錆びてそうですし、記録を読み込める媒体が残っているか疑問です。。他にも色々なものを入れて欲しい。タイムカプセルになりますので。

私も仏像を修復してるとき、造像時の銘文や納入品や、後世の修理時のものが出てくると、かなりテンション上がります。昔の人と対話できた感じがするし、周辺の皆さんがより身近に感じて大事にされるきっかけにもなります。

先日修復させていただいた御像には、昭和に修理した時の関係した方々の名前が沢山書かれていました。役員さんの中には「うちの祖父だ」というかたもいて、近い年代の修理銘でも繋がりを感じられいいものです。

考えてみると、仏像彫刻の修復は、子孫にメッセージを残せる珍しい文化財の分野ですね。他の分野ではなさそうです。

像内に納入するヒノキ板、これをぴっちり鉋がけするの結構大変で、手間かかります。ちゃんと鉋の刃を研いで、台の調整もしっかり出来てないと、綺麗にいきません。ガサガサの面になると、墨も滲んでしまいますし。そして、この表面に砥の粉を擦り込むと、より墨が滲まないようになります。

ヒノキは虫にも食われにくいですし、墨は非常に保存性高いのでよく残ります。墨汁は合成的なものが入っているので、磨った墨がいいみたい。

100年、200年、1000年後の子孫にむけて文化財を守りつつ、対話したいものです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?