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仏像彫刻の製作年代を考える時ってどの辺を見ているか

質問箱(https://peing.net/ja/mokujiki2)に
『仏像彫刻の製作年代を考える時ってどの辺を見ていますか?』との質問があったので、こちらにも。

仏像に墨書や像内納入品で製作年がしっかり分かる場合はいいのですが、そうでないことが多いので、仏像のかたちや構造技法から製作年代を推定します。これがなかなか難しい。ここでは、私が見ているポイントを。

まず、シルエット。遠目から見ても結構古い像は、シルエットとか姿勢でなんとなく古そうと分かることがあります。

肉髻(にっけい:如来の頭の上のこぶみたいの)や髻(もとどり:髪の毛を結い上げたまげ)の形。髪際の形。耳の形。服の着方・着くずしかた・衣文。袖の形が薄く仕上げられているか。毛筋彫りが、単調か複雑か。天部の袖の形。両脚部の衣文が、翻波式か連波式か、あっさりか複雑か。後頭部の螺髪の並びかた。

ひっくり返して、像底の形。像底が真っ平らか、刳り上げてあるか、上げ底の像底か。立像でも、像底を刳り上げているか、平らか。足首以下を表して、裾が高い位置にあるか。

構造技法で、一木造りか、内刳りなしか、背刳りか、割剥ぎ造りか、寄木造りか。彫眼か玉眼か。足枘が共木か別材を寄せているか、共木でも太いか、薄いか。手首が差し込み剥ぎか。
立像で足先まで同材か。三角材が縦木か横木か。両脚部と体幹部の寄せ方、両脚部を刳り込んで寄せてるか。心束や束があるか。角枘か太枘か、その太さは。内刳りの鑿跡が、外丸鑿か、内丸鑿か、大工鑿か。

表面の漆塗膜に断文が出てるか。漆塗りの下地が、泥地か漆錆下地か。黒漆が呂色漆か掃き墨漆か。金箔の色。彩色下地が鉛白か白土か胡粉か。

台座、光背の形と表面処理など。

色々なところを見て仏像の製作年代を探っていますが、なかなか難しい。悩みに悩む場合も多いです。

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