仏像や神像の調査について

私、仏像・神像の修復を仕事にしていますが、仏像や神像の調査も行っています。

修復で一体一体直すのも大事ですが、調査してその御像がいつくらいに作られたのかを知っていただくのも大事なこと。地域の皆さんの意識も高まり保存効果も高まります。

うちの御像は文化財ではないよと、言われる事がよくありますが、指定文化財になる基準は、自治体の都合で線引きされている面もあり、その線引きは自治体によってまちまち。指定もれも多いです。

江戸時代の御像でもたいしたもの。大事なもの。建築や絵画だと、江戸時代のものでも文化財になることは多いですが、仏像彫刻は、数が沢山残っていることと、研究が進んでいないこと、調査が進んでいないこともあって、まだまだ文化財指定が進んでいないだけの面もあります。

で。調査。

仏像調査はちょっと大変な部分もあります。壊さないように御像を動かして、調査するというのは、ある程度訓練されて、モノを壊さないように扱える人でないと、腰がひけてしまうものです。

調査の際は、正面、背面、左右側面、像底などの写真を撮影し、像の大きさを測り、構造技法を確認し、銘文(墨書などの記録)の有無を確認します。銘文がない時は、造形や構造技法などから、像の製作年代を推定します。そして、お寺やお堂の歴史などをお聞きして、像に関わることを記録します。

少し前までは、厳しいご住職様がおられて、仏像の調査なんてもっての他だったり、秘仏だったりという事もあったりして、調査が進んでいないこともあります。

地域にはまだまだ未調査の仏像・神像が残されています。点々と残されている中世の痕跡の場合もありますし、建築や絵画に比べても中世の御像が残されている確率はかなり高いです。そして、江戸時代の御像でもたいしたものです。

銘文が残されていれば、地域史の資料ともなります。

各地の自治体の文化財調査や、自治体史の調査では、仏像や神像の調査はしっかり行われていないところも多くあります。

また、各地の博物館・史料館の常設展示では、仏像・神像についての展示(実物、パネルを含めて)が非常に薄いのを感じます。

是非、仏像・神像調査して、地域の歴史の厚み、深さを体現していただければと思います。

お寺だけでなくて、地域のお堂やお宮にもたくさん残されています。

うちの地域は歴史的な文化財は全然残されていないなんて言われる事もありますが、単に調査がされていないだけなのかもしれないです。

是非調査をー。





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